御在所岳・中尾根バットレスカリフォルニアドリーミング(6p、5.12a/b)

記録:望月

■2021.10.3  御在所岳・中尾根バットレス カリフォルニアドリーミング(6ピッチ、5.12a/b)

■メンバー 望月、楠瀬

■装備 50mハーフロープ2、クイックドロー10、カム#0.3〜#4(#3のみ2個)、エイリアン3ほど、ジャミンググローブ(6ピッチ目のみ)

蛍雪の月一山行でみんなで御在所岳でクライミングをし、藤内小屋に宿泊。久しぶりに大人数で集まったのてなかなか盛り上がる。遅くまで飲んで最後は小屋主の神谷さんに捕まってしまったため、天気はいいが寝不足で前日の酒もまあまあ残っており、正直あまり調子は良くない。ゆっくり準備して7時ごろ出発する。今回はアプローチが短くて本当に助かった。歩いているうちにだんだん気分も良くなってきて、なんとか行けそうだ。

バットレスの取り付きに着くと、1ピッチ目のスラブを登り始めているパーティがあり、我々と同じくマルチピッチだったらずっと順番待ちか?と一瞬焦ったが、1ピッチ目にトップロープを掛けて練習するとのことだったので、掛かったロープをよけてもらい、望月リードで登り始める。

中尾根バットレス全景

・1ピッチ目(5.10a、スラブ)望リード 

時短のため下部スラブを2ピッチで登ることにし、通常使う終了点から数m左にトラバースして垂壁を越えたところにある並行ボルトでピッチを切る。このピッチは何度も登ってるし岩のコンディションはかなり良いが、やはり核心のムーブは何度やっても緊張する。

  • 2ピッチ目(5.9〜5.10a、スラブ)楠リード

出だしは比較的易しいが、途中で下向きのフレークにカムを極めて傾斜の強いスラブを越すあたりからはなかなか油断ならない。上部は5.10aらしいが、おそらく1ピッチ目より難しい気がする。クイックドローが最後足りなくなったらしく、持ってるスリングカラビナを総動員してトップアウト。

・3ピッチ目(5.12a/b、フェイスークラック)望リード

このピッチは残念ながら歯が立たないと判断し、核心部はエイドで越えることにする。アブミは持ってきてないが、60スリングと120スリングをカラビナ1個にぶら下げたセットを2セット作ってアブミ替わりに使った。出だし1本目のクリップは緊張するが、その後は幸いボルト間は遠くないので、エイドで登る分には難しくはないものの、トラバースして壁の面が変わるところは結構緊張する。お助け用にエイドでしか使えなそうな貧弱なボルトが2本打たれていたが、これが無いとかなり苦労しそうだ。なおエイド区間が終わった後は、10mほどのクラック登りが待っているが、これが思いの外難しかった。5.9くらい?

3ピッチ目をフォローする楠瀬

・4ピッチ目(5.9、スラブ)楠リード

ヘッドウォール(実際はその上にもう一段あった)の基部を右上する草付きスラブを15mほどの登ると終了点があり、ここでピッチを切ったが、後からトポで確認すると、その先にある薄かぶりのコーナークラック(5.9)または壁の外側へ続くバンドを回り込んだところにある多少岩がボロそうなフェイス(大昔のリングボルトが打たれていた)の先までトラバースし、横のクラック(5.7)を登って一段上のテラスまで行くのが正解だったようだ。この終了点からは、同時刻に中尾根を登っていた小田西村小林パーティがよく見えた。

・5ピッチ目(5.7 スラブークラックー歩き)望リード

ルーファイ良くわからず、結果的には5.7の脆いクラックを登って一段上のテラスへ出た。ちょっとしたスラブを越えたところの大きな岩(これが実際のヘッドウォール)の左側の基部に懸垂用の下降支点があったのでピッチを切る。このピッチがカリフォルニアドリーミング最終ピッチかと勘違いしていたのだが、グレード5.10dあると聞いてた割に簡単すぎ。フォローが登ってくる間に周囲の様子を見てるとおそらくもう1ピッチあると思われる。登ってきた楠瀬さんに岩の基部を右に回り込んで確認してもらうと、やはり右側に岩頭へつながるクラックを発見。危うく最終ピッチを逃して降りてしまうところだった。

最終ピッチ取り付き

・6ピッチ目(5.10d、クラック)望リード

楠瀬さんからジャミンググローブを借りて登り始める。クラック自体はおそらく10mちょっとで全体としてはほぼ垂壁だが、微妙にハングしてるように見える核心部はフィストサイズでなかなか悪そうだ。出だしは左右2本に分かれていて、今回はビレイ点に近い左側からの右上クラックを登る。出だしは#1、#2サイズでハンドジャムが良く効き問題はないのだが、だんだんクラックの幅が広がって合流手前で#3を入れようとすると変な向きで中にスタックしてしまい、かなり焦る。しばらく外そうと粘ったが無理だったので諦めて二つ目の#3を横に入れてクリップ。事前情報でこの後もう一回#3を使う箇所が出てくるらしいと聞いてたので不安になるが、合流して広がったクラックに#4を突っ込み、レイバックと片腕エルボージャムで引き付けて右足を突っ込んで一気に登る。安定したところで#4をずり上げ、さらに一歩進んだところにあったシンクラックへスモールカムを突っ込んで一安心。かなり消耗したので、しばらく休んでから立ち上がってワンムーブで安全地帯へ脱出して、そのまま岩頭の終了点まで登り切った。途中アクシデントもあったが、なかなか奮闘的な良いクライミングが出来て満足。なお、花崗岩の粒子はかなり粗いので、素手ではかなり痛いと思われる。

最終ピッチを登る望月

フォロー登攀時もスタックしたキャメ#3が外せなかったので、1人だけロワーダウンしてロープにぶら下がりカムを回収。このピッチの終了点にはカラビナやリングが無く、懸垂支点はさらに壁の奥だったので、楠瀬さんにロープを渡して先程間違えそうになった懸垂支点へ一人で懸垂下降してもらい、合流してから懸垂下降2回で取り付きまで下降した。14:20に下山し、全体の藤内小屋集合時刻15:00にもギリギリ間に合った。良い天気の中、気分良く下山した。

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