足尾・松木沢ジャンダルム右壁、中央壁

(報告者 望月)

1/22、23にて、栃木県足尾の松木沢ジャンダルムへ行ってきた。

月末に参加予定しているウインタークライマーズミーティング(WCM)が同じエリアで行われることもあり、足慣らしと雰囲気を知るのを兼ねて二日間登る計画となった。

関東出身なのに、実は足尾で登るのは今回が初めて。さらに今シーズンは色々と忙しく、冬山自体が初めてである。

最近まともにクライミングできてないので、大丈夫かなと少し不安だったが、天気とパートナーに恵まれて久しぶりの冬壁を二日間楽しむことができた。

目次

1/22  松木沢ジャンダルム右壁

初日は所沢を4:30に出発し、銅親水公園に7:00到着。

身支度して1時間弱の林道歩きで松木沢ジャンダルム向かいの河原に到着する。

アプローチは楽だったが、初めて来た足尾は予想以上に禿げ山で、あちこちで土砂が流れて荒涼としており驚いてしまった。

有名な足尾鉱毒事件の影響とは知ってはいるものの、日本の他の山では見たことがない風景だったので。

鉱山が操業をやめてからかなり時間が経っているはずなのに、今でも影響が残っている理由が何なのか気になる。

とか考えているうちに松木沢ジャンダルムの真ん前に到着し、とりあえず河原にテントを張った。

 

 

右壁チョックストーンルート

1日目は松木沢ジャンダルムの右壁を登る事にして、崩壊しかけた急斜面を20分ほどのアプローチで取り付きを目指す。

まずは右壁チョックストーンルート(3p)へ。

1ピッチ目を担当したのだが、ここは半分アプローチ的で傾斜も緩く、終了点まで30mほどロープを伸ばしたが特に難しいところはなし。

2・3ピッチ目では傾斜が強いチムニーを何段か繋いで壁のてっぺんまで抜けていくが、アックスアイゼンで登る奮闘的なワイドクラックを堪能できる。

下降は壁の裏側を松木沢の上流側へ回り込むと浮石ガラガラのルンゼに踏み跡がついており、二箇所の懸垂下降(支点あり、下の懸垂ポイントはFIXロープも整備されていた)を経て30分ほどで取り付きまで戻れた。

二段チムニールート

まだ時間があるので、おかわりの2本目に取り付くことに。

右壁チョックストーンルートの左側にある、二段チムニールートを登った。

このルートも1ピッチ目を担当したが、出だし15mほどの、クライミングシューズだったらなんてことないスラブが冬靴アイゼンでは意外に悪く、クラックが乏しくてランナウト気味になるのも気持ち悪かった。

前半のスラブを終えると全身すっぽり入れるチムニーへ。プロテクションとして、中に走るクラックで小さいカムが使えるので割と安心。ワイド登りとフッキングでチムニーを越えたところでカムで終了点を作り、フォロー2人を引き上げる。

このルート、2ピッチ目終了点で右壁チムニールートと合流するが、3ピッチ目は何通りかルートを選べる感じだった。

各々3ピッチと短いものの、一日で2本も登れて充実した。

 

1/23  松木沢ジャンダルム中央壁

中央壁直上ルート

翌朝、明け方にかなり強い風。テントが吹雪に叩かれているような音もあり、これは今日は登れないかな・・・と思って朝になったら、なんと快晴で壁も乾いている。さっきまでの嵐はなんだったのかと思いながら出発準備をする。

この日は中央壁直上ルート(5p、5.8)を登った。

1p目(25m、5.7)望月。

スタート5mがいやらしく、慎重に離陸する。

クラックへのハンドジャム、周りのカチへのフッキングとアイゼンのステミングでジリジリと高度をあげるが、中間部がまた難しい。

一段下がったところでオブザベしながらレストのあと、気合を入れて体を上げ、右側のテラスに立って一安心。

最後は被り気味のチョックストーンを抱えて豪快に越えるムーブ。

なんとなくチョックストーンが動くような気がして気持ち悪かったがどうにか落ちずにテラスに上がり込み、細い木とカムでビレイ点を作って後続を迎えた。

2p目(35m、5.8)SZMさん→HGRさん

スタート10mのコーナークラックが難しく、リード交代。このセクションは確かに難しかった。

でも、その後のオフィズスの方が厳しかったかもしれない。

どちらもクライミングシューズで登ればグレード通りだろうけど、やはり冬靴アイゼンではムーブもかなり変わってくる。

ダメ押しに5mほどの垂壁に走るハンドクラックを越えて、終了点へ。

壁の傾斜はこの後一旦緩やかになる。

3p目(45m、5.6)SZMさん

このピッチはほとんど歩きだったが、傾斜が緩いせいか浮石がものすごく、ロープに引っ掛けそうでかなり怖かった。

4p目(30m、5.6)望月。

ここからまた、壁の傾斜が少し強くなる。

見た目易しそうな3本走るクラックの一番右を登るが、冬靴ではフットジャムが決めづらくなかなか侮れない。

後半、クラックが細くなるところでムーブを間違え、残念ながらテンションを掛けてしまった。右側のフェイスを使うのが正解だったようだ。

体感グレードは、少なくとも5.6よりは難しいような気がするが冬装備で登るとまた違うということなのだろう。

5p目(50m、5.5)HGRさん

壁の弱点を逆くの字状に登り、最後はこぶし岩の左肩に出たところで終了。

このピッチはスラブとクラックが交互に出てくる感じで、カムをセットする節理はそれなりにあるが少々岩が不安定だ。

なのでプロテクションのセットは慎重にしたほうが良さそうだ。

6p目としてこぶし岩を登ることもできるようだが、傾斜が強くて結構難しそうだったのと時間的に余裕がなかったので、ここでクライミングは終了。

5p目終了点から岩の裏側を歩いてこぶし岩のてっぺんへ回り込むと、ピンクテープの目印がついた踏み跡があり、それを辿ると前日使った右壁からの下降ルートに合流できた。

テントへ戻った頃には暗くなりかけていたが、林道を1時間弱降りれば下山できるので安心だ。

今回は初めてのエリアだったが、二日間天候にも恵まれてなかなか充実したクライミングができた。

 

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