北海道遠征  その5 (S峡・鬼が城エリア)

9/24 S峡・鬼が城エリア
望月、M氏 (記録:望月)
北海道に、その名も「オフィズスマシーン」という凄いワイドクラックがあるとの噂を聞いていて、今回の遠征でぜひ登ってみたいと思っていた。その名の通り35m以上も延々とオフィズスが続く、とても見栄えのするルートで、川の対岸の道路からもはっきりと分かる。
恐らくこれほど延々とオフィズスが続くルートは国内に他にないのではないだろうか。(やった事はないが三倉岳のジェードルクラックが雰囲気近いかもしれない)
このルート、S峡の鬼が城というエリアにあり、そもそもアプローチがかなり遠い。さらに道が不明瞭で迷ってしまい、取り付きに着くまで2時間近くかかってしまった。アプローチの遠さから不遇なエリアとなっているのは否めない。
まず、「死喰魔(シグマ)5.10b」でアップする。(ネーミングセンスになんというか時代を感じる)
このルートは上部が薄かぶりのオフィズスで、結構厳しいんじゃないかと思いトライしたが、思いの他ガバ多めで登りやすく楽しいルートだった。
そして本命の「オフィズスマシーン」へ。
連日のクライミングですでにジーンズの両膝がボロボロなので、テーピングをぐるぐる巻きして取り付いた。
1p目は5.8程度のハンドクラック。
2p目出だしのクラックにカムを決め、横に打たれた古いボルトと合わせ支点構築してパートナーを迎える。
2p目取り付きから見上げると、目の錯覚か、長過ぎて感覚がバグっているのか分からないが、30m以上という風には見えず、案外短いように思えた。(実際登ってみたらやはり目の錯覚だった)
取り付きから見上げたクラックは明らかに#5〜#6サイズで、オフィズス真っ向勝負。非常に威圧感があるが、膝のスタックを決められればなんとか勝負できるかもと思い、離陸する。
序盤は順調に進むが、少しずつ幅が広がるクラックが、ちょうどフィストが決まらず膝も入らないサイズとなったところが、若干傾斜もハング気味になることも伴い、一番苦しい。ムーブの詳細は省くが、体勢を右に左に入れ替えながらちょっとずつ進む。
もうほとんど拷問だ。いっそ一思いに殺してほしいとすら思うも、たまにご褒美のようにクラックから体を出して休めるポイントがあるので、諦めきれず頑張ってしまう。
というか、本音は今回登ってさえしまえば、もうやらなくていい!だった。突っ込んだ膝が悲鳴をあげ、クラックの縁に引っ掛けた外足もネジ切れそうに痛む。
カムはたくさん準備したが、ルートが長過ぎて遠近感がバグり、途中で使い過ぎている事に気づく。後半1/3は(保険の1個は確保しながら)ほぼ1個のズラッシングで戦うことになってしまった。
たまに下を見下ろすと目の前のカム1個でドランナウトしているのに目眩がする。しかし綺麗なパラレルクラックで目の前のカムは常にガッチリと効いているので怖くはなかった。
離陸から1時間半くらいかけてようやく終了点に辿り着く事ができた。全力出し切ってオンサイトで登れたのが非常に嬉しい。まさにこのルートを登るため北海道を訪れる価値があったと思った。
翌日は身体の節々が痛み、特に足首の調子が悪かったので、早々にレスト日と決めて一日のんびりと過ごさせてもらった。
オフィズスマシーン5.10d ここでもまだ真ん中くらい
延々と続くオフィズスで奮闘する
「死喰魔 5.10b」  このルートも面白かった
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