源次郎尾根Ⅰ峰側壁(中央ルンゼ~成城大ルート)

2021年7月22-25日

L:北村、メンバー:村上、野木、和田(記)

今年の海の日の連休はオリンピックの開催で4連休。10年ほど前に野木さんと計画してからなかなかチャンスがなかった源次郎尾根側壁にようやく行くことが出来た。

■1日目(7/22)

6:00立山 ― 7:30室堂 ― 10:15剱沢 テント設営 11:00源次郎Ⅰ峰取付き下見 ― 15:40剱沢キャンプ場

今年はコロナの影響で立山ケーブルカーの予約がWEBでとることが出来た。チケット売り場に並ぶことなくスムーズに乗車。室堂でのお天気は最高、気持ちよくスタート。

村上さんがよいペースで先導してくれたので、憂鬱な雷鳥坂もあっという間に登れた。

剱沢に向かう途中ヘリがホバリングしているのが見えた。事故を起こさないよう気を引き締める。

剱沢でテント設営後下見に出発。剱沢は剱沢小屋から少し下ったところで穴が開いていた。(滝が出ていた)

平蔵谷出合でアイゼンをつける。中央ルンゼの取付きを見つけるも、シュルンドからF2へのアクセスをどうするか悩む。またF4は水しぶきをあげている。

とりあえず雲行きも怪しくなってきたのでテン場に戻った。(途中剱沢小屋でビールを調達)

テント内で村上さんの天気図作成を拝見。予測は弱っちい高気圧に期待しようとのこと。まもなく雷雨となった。

■2日目(7/23)

3:50テン場 ― 4:50平蔵谷出合 ― 5:50取付き(F3基部) ― 15:10中央ルンゼ上部

出発時すでに一般ルートにはヘッドライトのラインが出来ていた。私たちは剱沢を下る。雪渓が出てきたところでアイゼンを装着した。中央ルンゼ手前のシュルンドに到着するとすでに先行パーティーが準備していた。左岸からシュルンド内に入り、残置ピトンで懸垂してF2基部に取付く。昨日見たより水量は減っていた。朝は雪渓からの雪解け水が少ないからか。

↑シュルンド内

パーティー編成は、野木・和田、北村・村上。奇数ピッチを和田・北村、偶数ピッチを野木・村上とした。1P目は左の壁から取付く。2Pはビチャビチャの壁。もたもたしているとどんどん濡れる。下部は残置があるものの浮石だらけ。トポでは左のフレーク~フェースのラインもあるとなっているがレイバックで行ける気がしない。

↑F4

(北村)2P目、村上さんリードでビレイ中に巨大な浮石が落ちてきた。村上さんのコールで岩陰に隠れたおかげで助かったが、スタート早々に肝を冷やす一瞬だった。全く慣れないビチャビチャの壁をセカンドで登る。ハング部分は和田さんが伸ばしてくれたお助けスリングがないと厳しかった。

F5前で小休止。F5を過ぎると残置がなくルートがよくわからなくなった。

(北村)F7で野木・和田パーティーより右のスラブ状フェースを登る。ランナウトするが快適に登れてこれが正解?上部で和田さんと合流し、上の木で確保支点を作る。右側が階段状に見えたので、村上さんには右へルートを取るよう促すが、これが失敗。結局、村上さんが懸垂で戻り、リード交代して野木・和田パーティーの後を追う。小滝でまた濡れるが、こちらは優しく正解。ルーファイの課題が残った。

なんだかんだ言いながら登っていくとⅠ峰上部フェースが見えてきた。

成城大ルートの取付きを探す。先行パーティーの忘れ物スリングがあったのでそこからスタート。野木さんリード。中間に残置ピンはない。草付きをこえると残置ハーケンがあり。ここでピッチを切る。次のピッチ、岩がボロボロ。ほんとにルートはあっているのか?時間も遅くなってきたので、水が取れる取付きに戻りBVすることにした。落石を避けられそうな場所で、岩にハーケンを打ち、ツエルトをかぶれる様にする。斜めってるけど足は伸ばせそう。寝床を作った後、再度取付き探し。ネットの写真と同じような岩を探す。が見つからない。

明日取付くルートの目星をつけて食事、就寝。満月がきれいだった。

■3日目(7/24)

朝食を食べたりしてのんびりしていると源次郎尾根縦走路に人が見えた。最初のパーティーは縦走。次の2人組はこちらに向かってくる。速い!アッという間に追いつかれた。聞くと一人の方は3年ほど前に来たらしい。快く!?先行してもらう。1P目の取付きは、昨日取付いたところよりずっと左側だった。

本日のパーティー編成は昨日と同じ。奇数ピッチは和田・村上、偶数ピッチは野木・北村で登ることにした。

1P目カンテ左の凹角から。ブッシュが多い。2P目ハイ松テラスを目指す。岩が脆い箇所あり。3P目カンテ左の凹角沿いのフェース。4P目核心。出たしの5mくらいはピンがなくランナウトする。その後左にトラバース。フレーク状のクラックを登る。ハーケンはあってもグラグラだったりした。ダイレクトルートのボルトラダーを過ぎたところでピッチをきる。5P目左のクラック~フェース。ペッツルのハンガーと残置が3つほどあったのでそこでピッチをきる。

↑4P目

(北村)2P目、Ⅲ+ながらもなかなか怖い。核心部が思いやられるが、和田・野木パーティーに置いてかれないように無心に登る。4P目、フレーク状のクラック部分に入ると一気に本チャンの怖さを感じ、フレークから手を離せない。カムでランナーとる余裕が作れず、ハーケンでランナウトしながら一気に進む。クラック最後の乗越しはまたも和田さんのお助けスリングとスリングアブミで越えた。確保支点は結構ピンが出てるリングボルトとハーケンでハンギングビレイ。緊張のせいでセットにもたつく。もっと本チャン慣れが必要だなと痛感…。

(村上)5P目、左のクラック~フェイス。核心部分でカムがないことに村上が気がつく。「カムがない~」と村上。「ここにあります~」と下から北村。しかし上部にリングボルトにあることに気がつき、そのまま登る。

6P目から先はブッシュ帯に突入。13:20登攀終了。靴を履き替え、目指すは剱山頂。といっても先は長い。源次郎Ⅱ峰を登って降りないと。バテバテになりながら16:10剱山頂。この時間だから一般登山者はいなくて山頂は貸し切り。そして一般ルートを下山。山頂から剱沢までこんなに長かったっけ。下りは「剣山荘でコーラを飲む」を目指して足を動かした。剣山荘でコーラを飲みビールを買ってテン場には19:50着。食事を作る元気もなく、アテとビール乾杯で就寝。

■4日目(7/25)

朝からガスがかかっている。6:20テン場発。今日は下山したら「美味しい寿司を食べよう」を目指して歩く。途中みくりが池温泉でおやつのソフトクリームを食べる。9:20室堂着。

下山後は「森の風立山」でゆっくりお風呂に入り、「とやま寿司」で美味しいお寿司を食べて帰阪した。

山行を決めてから4人でジム、不動岩でトレーニングした。剱でアルパインするにはアイゼン・ピッケルワーク、そして荷物を担いでのクライミングが必要。フリークライミングのようにカッコよく登ったりはしてないけどやり遂げた感はいっぱい。

お天気、そして何よりメンバーに恵まれた山行だった。ありがとうございました。

目次