メンバー) 望月・H野(会外)
記録)望月
アイスクライミングを始めて以来、一度は行ってみたかった北海道の層雲峡。予想に違わず素晴らしい規模の氷瀑がアプローチ至近で取り付ける素晴らしいエリアで、付近には快適な宿(宿代も非常に安い)や温泉もある。心配した寒さも幸いそれほどではなく、のべ3日間楽しめた。また、その後札幌近郊の恵庭渓谷でもアイスクライミングを行った。
2/20 層雲峡 ライマンの滝 : WI4 45m
早朝5時に札幌を出発。下道3.5hほどで層雲峡に到着し、まずは銀河の滝の対岸に車を停めて見に行く。でかい。こんなに大きな滝が全部凍るなんてあり得るんかとちょっと感動したが、すでに数パーティ取付いており、かつ思いのほか渡渉が厳しそうだったので上流の錦糸の滝へ転進。長いトンネルの出口のところに車を停めてアプローチを開始。トンネルの上に伸びるトレースを追い、NAKA滝、尾滝、パラグーフォールなどを見ながらしばらく進んだ後に懸垂下降で川沿いのトレースに合流する。そこから5分ほどの歩きで橋の下をくぐって河原を左岸へ渡渉し、さらに5分ほど歩いたら左上に大きな滝が見えてきて、トレースもあり、50mほどのラッセルで氷瀑の取り付きに至る。錦糸の滝と勘違いしていたが、あとから確認したところライマンの滝45mであった。(滝が大きすぎて下からでは全体像が見えないと思っていた)
望月リードで取り付く。先行パーティがすでに取付いていたので、滝の右側の雪をかぶったラインを登ったが、下部はラッセル、途中からツララとハングの繰り返しでとても登れる気がしなかったので、結局左に大きくトラバースして先行パーティのラインに合流することに。結果的に先行パーティのセカンドが登ったすぐ後を追う形になり落氷におびえながらのクライミングになってしまったのは反省。ラインが蛇行してスクリューも足りなくなったので、終了点15mほど手前でピッチを切り、H野とリードを交代する。終了点からは同ルートを懸垂下降する。(どの滝も懸垂下降支点はきっちり整備されていた)結局この日はこの一本しか登れず、早めに撤収する。夜は層雲峡温泉(黒岳の湯)の隣にある山の上ペンション泊。素泊まり一泊4500円だがアイスクライミングに来たと言えば黒岳の湯の入湯券(600円)と上川町内で使える商品券2000円分を貰えるので実質2000円以下で泊まれる素晴らしい宿である。地酒「神川」が旨く、気づいたら二人で一升空けてしまった。
2/21 層雲峡 銀河の滝 : WI3+~4 180m(4ピッチ)
二日目は二日酔いで少々しんどかったが、渡渉の準備を整えてメインで考えていた銀河の滝へ。荷物が多く長靴を持っていけなかった為、超厚手ポリ袋(厚み0.1mm)と土嚢袋を冬靴の上に履いて渡渉したが、川底の苔が滑って転びそうになり相当緊張した。ストックがあると歩きやすいと思う。正直滝よりもこの渡渉の方が核心なのではと思われる。
間近で見るとやはり非常に大きな滝で下部は幅も広く、3パーティくらいなら横に並んで登れる。1ピッチ目はH野リードでⅢ程度、45m登って傾斜が緩んだところで終了。次は望月リードで緩斜面(40°位?)ラッセルで60mロープ一杯伸ばす。難しくはないがたまに氷がスカスカのところがあるので用心しながら登り、先行パーティが多かったのでビレイ点の位置に悩むが、氷の堅いところにスクリューとアイスアックスで支点を作りビレイする。
3ピッチ目はH野リードで先行パーティとは異なり滝を左岸側へトラバースし、右壁の残置支点でビレイした。最上段となる4ピッチ目は、望月リードで一番傾斜が強い(といってもWI4くらい)左岸側のルート約50mを登り、落ち口へ抜ける。結構ヒリヒリしたけど、氷は堅くてしっかりアックスとアイゼンを効かせながら登れたので、時間は掛かったけど充実の一本だった。下降用支点はきちんと整備されていて、懸垂下降60m×3回で取り付きに戻る。帰りの渡渉では暗くなってしまったが、車が近いので助かった。翌日は平日のため、一度札幌へ戻る。
2/23 層雲峡 錦糸の滝: WI3+ 120m、 尾滝: WI3(4?) 15m
22日は当初雷電海岸の氷を考えていたが、暖気が入って氷の状態が悪そうと判断し、再度層雲峡へ向かう。天気は悪く、途中雨が降ってきたりもしたが層雲峡まで来ると晴れており一安心。しかし午後には天気が崩れる予報だった。前回間違えて登れなかった錦糸の滝へ向かうが、ライマンの滝から100mほど下流へ歩いたところに、河原ぎりぎりまで氷が張りだすような形で聳え立っており、間違えようがなかった。この日は他に誰もおらず、これほど大きな滝を貸し切りというのは何とも贅沢だ。
H野リードで滝の中央左の凹角から取り付き、階段状を45mほど登って右岸側の残置支点でピッチを切る。2ピッチ目は望月リードで、出だしはワンポイント傾斜が立っているが、その後は50°程度の快適な氷と雪壁に気持ちよくロープを伸ばし、30mほどで滝の左岸側の残置支点でピッチを切る。3ピッチ目は30mほどの雪壁ラッセルの後、階段状の20mの氷瀑を越えたところで終了。下降は60mロープで懸垂2ピッチで十分降りれた。
早い時刻に降りてきたのでもう一回滝の右側の傾斜が立ったところを登ろうかとも思ったが、かなり強く吹雪いてきたので無理せず撤収して、途中の尾滝を登ることにした。先行パーティは1組いたが、空いていた左側のラインを登る。ガイドブックにはWI3とあったが、半分以上ほぼ垂直で、おそらくWI4くらいはあったのでは。段々は多いものの氷が堅くてアックス・スクリューが決まりづらく苦労した。二人ともリードして終了。
2/27 札幌近郊 恵庭渓谷 : WI3~4 15m
この日は10時に新千歳空港に到着する人をピックアップして昼から山スキーを予定しており、朝イチでサクッと登れるところとして恵庭渓谷へ行くことになった。駐車地から谷をトラバースする林道を20分ほど歩き(途中、二か所ほど氷瀑の横を通る)急斜面を谷へ下って川沿いをしばらく歩くと到着する。幸い視界も良く先行者のトレースもあったので苦労せずたどり着けた。氷は氷柱状が左右2本、各々幅広くて同時に二組づつは取り付けそう。左の氷柱は上の木に残置支点があったが、右の氷柱は3か所アバラコフで各々残置スリングが掛かっており、それを利用することができた。
右の氷柱に取り付きH野、望月が各々リード1回、ラインを変えてトップロープでも一回づつ登ったら時間が来たので急いで撤収する。段々は多いが傾斜自体はほぼ垂直に近く、グレードはWI4+位かと思う。ただ、時間が早かったせいもあってかとにかく氷が堅くてアックス、スクリューを打つのにかなり苦労させられた。あまり大きな氷ではないが、札幌と新千歳空港のちょうど間に位置するので、遠征最終日などに半日遊ぶには良い所ではと思う。