中央アルプス宝剣岳 中御所谷

いよいよ夏本番ということで、中央アルプス宝剣岳の中御所谷で涼んできました。思ったより水量が多くまあまあ厳しいピッチもあったものの、幸い沢が貸切状態だったのと足並み揃ったメンバーのおかげで、時間的には余裕を持って千畳敷へゴールできました。

【日程】 2023.7.16
【メンバー】 楠瀬L、西村、望月(記録)
【行動】
7/15
21:00 大阪出発、翌1:30 菅の台バスセンター駐車場到着、バス停とチケット売り場の列に場所取りしてビバーク
7/16
4:30 起床、5:15発の始バスでしらび平へ。
6:30 1730m 入渓(しらび平から徒歩10分)
8:15 1800m 日暮滝の上(ロープ3ピッチ)
11:40 2240m二俣(左俣へ入る)
13:20 千畳敷ロープウェイ駅
行動時間 6h50m

【記録】
中御所谷は千畳敷ロープウェイを真上に見ながら、しらび平から千畳敷までの標高差約1000mを一気に遡る登攀系の沢で、グレードはⅢ級。下山はロープウェイを使えるが、その一方でロープウェイの終電の時刻までにトップアウト出来ないとまずいという沢。(敗退の場合は、ロープウェイの作業道を使えばしらび平へは降りれるが、遅い時刻では当然そこからのバスも無い)
連続する滝の登り方(ロープを出すか出さないか、直登するか高巻くか)でかかる時間が相当変わってくる。今回は沢の水量がかなり多く直登できる滝が少なかったので高巻きを多用したが、幸いメンバー3人とも沢慣れていたので高巻きのルートファインディングはほぼミスなく効率良く登れたのではないかと思う。結構人が入っているだけあり、入り口を間違えなければ大体どこでも明瞭な巻き道が残っていた。

前夜発で菅の台バスセンター駐車場へ夜中1:30頃に到着したが、すでに駐車場は9割方埋まっていてバス停にも順番待ちが出来ている。どうやらバス停とチケット売り場の両方で列に並ばないとまずいようで、楠瀬、西村の2人はチケット売り場の列でオープンビバークし、自分は車中で寝させてもらったが、朝起きたらとんでもない大人数がバス停、チケット売り場、トイレに長い列を作っておりたまげた。(後から分かったが、チケットを買わずにバスで直接運賃を払うこともできたらしい。早急にICOCA的な物で支払い可能にすべきと思う)
この沢の核心は入渓してすぐに出てくる日暮滝とその上のCS滝で、そこで一番乗り出来ないと相当なタイムロスで敗退するパーティもいるらしいので、確実にトップを取りたいところだったが幸い始発バスに乗れ、他に沢屋はいなかったので順番争いせずに入渓できた。

日暮滝1ピッチ目

日暮滝は水流の右のルンゼ〜右支流の小滝を2ピッチで登り、本流方向へ続く踏み跡を伝って、CS滝の右の急な(というかほぼ垂直の)ブッシュを木登りで越えて滝上へトラバース。ここは楠瀬〜望月〜西村と1ピッチずつリードして越えたが、特に3ピッチ目の垂直ブッシュは頼りの灌木が所々頼りなく、泥壁でスリップしそうなところもあるのでフォローながらかなり怖かった。ここは2ピッチ目の右支流をそのまま登って高巻いた記録もあるので、そちらから行くのが無難かもしれない。また、1ピッチ目のビレイ点構築で打ったハーケンがフォロー(私です)が登っている途中、特にテンションもかけてないのにロープを引く力だけで抜けて危うくビレイ点崩壊しかかったらしい。すぐにカムで支点作り直したらしいが、やはりハーケン、ナチュプロでビレイ点構築する場合は3点以上から固定分散が必須だし、ハーケンの打ち方は全員必須で覚える必要があると痛感した。

途中の滝の側壁登攀。最後のスラブでお助けロープを出す

この3ピッチを終えた後はひたすら続く目の前の滝を駆け上がるように登り、高巻き、気づけば2270mの二俣まで来てしまった。たまに補助ロープやお助けスリングを使うだけで特にロープを出したところもなく、高巻きからの懸垂下降もせずに来れた。あまりに滝が多く、何時にどこを通過したという細かい記録は残ってないが、岩も硬く、沢の雰囲気も開放的で時たま上空をロープウェイが横切る良いところだった。

左又上部の連瀑帯にて

二俣からは最短でロープウェイ駅に出られる左俣へ。水量が減って傾斜も落ちたのでこの辺りからは水流沿いをほぼ歩いて登れる感じに変わったが、楠瀬、西村の2人は高度障害?のためか息が切れると言ってスローペースで登ってくる。とはいえ二俣からの標高差350mをたまに休みながら1時間ちょっとで千畳敷へ詰め上がると、ロープウェイの大行列ができている。ずぶ濡れの沢装備のままで大混雑のロープウェイに乗り込み下山した。

目次