北ア 明神岳東稜


日  程:4/9-10メンバー:L天久卓也、椿尾延弘、北村愛

1日目
5:30 坂巻温泉 - 7:30 上高地 ー 8:30明神池 ー 10:00 宮川のコル ー 11:00ひょうたん池 ー 15:30 ラクダのコル2日目5:00出発  - 6:40 明神岳主峰ピーク - 7:40奥明神沢下降開始 - 9:30 岳沢出合 - 12:10坂巻温泉

 明神岳東稜の報告です。いわゆる人気ルートではありますが、はじめて行きました。そもそも本格的に山を初めて20年くらい経つというのに、上高地はなんと今回が2度目。どんだけ渋好みやねん!と言われそうですが、たまにはこういったキラキラしたエリアも良いなと再認識しました。

【1日目】快晴

 平湯で2時間程の仮眠、5:30寝不足をおして坂巻温泉から歩き出す。釜トンをくぐり、大正池を眺めながら2時間の散歩で上高地に到着。オープン前のこの時季、上高地はひと気がなく清々しい。普段は写真撮影で順番待ちであろう河童橋も今は静けさを保っている。快晴の空に岳沢を囲む穂高の山並みが白く輝く一方、その右を塞ぐように黒く巨大な岩峰が。黒部別山を黒部の魔人と呼ぶに対し、明神岳は穂高の魔人とでも呼びたくなるそんな異様な風貌だ。
 明神池で猿の群れをかき分け、沢沿いに高度を稼ぎ、宮川のコル、ひょうたん池へと広大な雪原を登高。天気が良すぎて汗が噴き出す。ひょうたん池から東稜に乗り、尾根を直上するが、気温が上がって雪が腐り踏み抜きが始まる。ひとしきり登ると第一階段という岩場に到着。第二が無いのに第一。しかも階段という不思議な名前。


●第1階段 北村リード 45m

 ハイ松と灌木が混じった斜面を直上後、岩壁に沿って左折。ここからビレイヤーの死角に入り様子が判らなくなる。
 ロープの進捗はジワジワとゆっくり。後半になると岩壁上からドサッと雪が降ってくることしばしば。北村が戦っているのがロープを介して伝わってくる。フォローで登ると踏み抜きの多い雪壁と格闘した様子がうかがえる。スノーバーも活躍。
 その後はロープをたたみ、高度差200m足らずの雪稜を、踏み抜きに閉口しながらラクダのコルに到達。広々としていて、前穂が眼前に迫るロケーション抜群のテンバ。少ない酒を回し飲みし、寝不足の為19時半に就寝。


【2日目】

 快晴3時半起床、5時出発。頂上まで高度差180mほど。目の前の岩場は左の雪壁から草付きを伝って登り、すぐにバットレス基部となる。


●バットレス 椿尾リード 25m

 正面には顕著なクラックが入った一枚岩のバットレス。その右側の凹角が弱点。凹角に入るとビレイヤーからはブラインドとなって見えない。ゆっくりだけど確実な登攀で前進し、難なく突破。フォローで登ってみるとこれは楽しい!スタンスは細かめだけど、ホールドの方はアックスを決めるクラックに事欠かず。椿尾は最後左の壁を乗っ越したけど、自分は直上、抜け口はアックスを決めアイゼンヒールフックで爽快に乗っ越す。


 実質この壁が唯一の核心で、この短いピッチの為に延々登ってきたんかと思うが、ラインはいろいろ取れそうで、難易度も変わる。もう一回降りて登ろうかと思ったくらい楽しい岩だった。
 その後は高度感がある岩交じりの雪壁をひと登りで主峰ピークに到達。目前には岳沢を囲む穂高の山並みが一望できる。今まで記録が少ないルートを好んで登ってきたけど、人気ルートはそれなりに人を引き付ける魅力があるんだなと認識。たまにはこういったキラキラしたエリアも良いなと考えをあらためた。東稜を登っている間、左手にキノコ雪と岩壁を連ねた魅力的なリッジに目がいった。調べてみるとこれもルートの様。ルート名は秘密。またマイナールートだけど良いのを見つけた。来年はこれを狙ってみっか!

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