大峰 前鬼川孔雀又谷左谷右俣

日程 5月29-30日
メンバー L天久、畠山、小林

1日目
8:30 前鬼林道ゲート  -  14:00 テンバ
2日目
6:00 テンバ – 10:00 稜線 – 11:30 釈迦ヶ岳 – 13:00 太古の辻 - 15:00 前鬼林道

今シーズン4本目の沢。そろそろ焚火がしたく、今回は1泊の沢。
前鬼川は遡るに従い、その名を北股川、内離川と変え、二俣より上部を孔雀又谷と称する。
ガイド本には1泊2日で紹介されているが、WEBで調べると下部のみ日帰りの記録が多い。
前半のハイライト的な部分だけ切り取るのではなく、稜線まで繋げてこそ見えるものがある。
前鬼の神髄を孔雀又左谷に見た。

■1日目
前鬼林道に車を止め、黒谷を下降して入渓。
木曜に降った雨で引ききれず、水量多め。
水が冷たいと事前に聞かされていたので、時期も早いし身構えていたが、
震えるほどもなく杞憂に終わる。

遡行開始すると次々と現れる前鬼ブルー!
陽の光を受け、碧く透きとおった渕に目を奪われる。
2段10mの滝を越えると気持ちの良いナメが広がる。が、今日は水量多く、しかもヌメル。
滝上の徒渉では恐怖のナメと化しロープを出して慎重に渡った。
その後も前鬼ブルーとナメが繰り返し、日帰り沢ヤの終了点となる垢取場を通過。
ここまでは盛夏の水遊びに最適な感じだった。

しかし、ここから様相が一変し巨石帯が続く。
乗っ越しや穴くぐりの連続。
泊まり装備を背負ってのボルダリングに体力を奪われていく。
ひとつひとつが結構難しい。
周囲が杉林に変わり、右岸に朽ちつつある作業小屋を過ぎると
前方のピークに印象的なオベリスクを見る。

広い河原に空が開け、気分が良い。
今回はノンビリ泊り沢を満喫するのが目的なので
ここをテンバと決め昼寝タイム。その後ビールを我慢して釣りに出かけるもボーズ。
魚もどこかに出かけて留守の様子。気配も感じない。
それから長い焚火の夜を満喫。

■2日目
6時出発。
思いのほかデカいアメシ谷を右に分けると水もだんだんと少なくなってくる。
白いナメが所々出てくるが、ガレ場も多く快適遡行とは言い難い。
しばらくすると水は消え、100mを越える大岩壁が目に入る。
ガイド本にある「伏流帯」と「ハーフドームを思わせる壁」だろう。
その後は深山に屹立する尖峰が次々現れ目を楽しませてくれる。これを見るだけでも価値がある。

大規模なガレの押し出しを過ぎると稜線まであと比高150mほど。登るにつれて谷は狭まり両岸の岩が立ってきて
多段涸滝状のルンゼとなる。これらはステミングで越えていく。
難しくはないけど、気を遣う。本では何事もなく草原に詰めるもんかと思っていたが、そうでもないらしい。
段差を越えるたびに堆積した浮石が岩雪崩を起しそうで、繊細な脚さばきを求められる。

もうガレにはウンザリなんで「この辺でオネリましょう。」と安全な尾根に逃がれる。
小コルに立つと足元は100mくらいスッパリと切れ落ち、向こう側は岩壁に囲まれた空間が開ける。
「アレ?」
孔雀又右俣のハズが、なんと我々は左谷右俣に入っていたことが判明!
今朝、右に分けたデカい支流(アメシ谷と思っていた)が実は本流の右俣だったと気づいたのでした。

トポでは右俣と左谷の二俣を過ぎて小屋があり、そこがテンバ適地とあったが、
別の小屋が二俣手前にもあったので、まんまと騙されてしまった。まだまだやなぁ。
その後、笹の斜面をヤブ漕ぎなしで孔雀岳ピーク南側の稜線に飛び出した。

後で知ったが、尖峰群は五百羅漢と呼ばれ、間近で見るために左谷に入渓するパーティもいるようだ。
何度も言うが、これを見るだけでも価値がある。前鬼の神髄を孔雀又左谷に見た。

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