白山 境川フカバラ谷

日程 2020年9月5‐6日
メンバー L天久、SL山田ひ、望月、西村

〇タイム
1日目 6:10出発 - 6:20入渓 - 8:30ト谷出合 – 10:00フカバラ谷 - 16:30テン場
2日目 6:20出発 - 10:30 大笠山頂上 - 14:20入渓点

●1日目(晴れ一時雨)
オバタキ谷出合に架かる吊り橋脇から踏み跡をたどり、境川本流に立つ。んー、以前とは様子が違う。本流もオバタキ谷も水が流れていない!?
今年7月の豪雨で土砂が堆積したのか、沢床は5m以上盛り上がり、沢水は伏流となっている。これがあの水量豊富な境川本流かと目を疑った。
干上がった沢床を進み、水流が復活するも、全般に水は少なく昨年遡下降したボージョ谷、ト谷の出合を予定の3分の2の時間で遡る。

本流が笈ヶ岳直登沢を分けるといよいよフカバラ谷のゴルジュへと突入。
両岸は30mはあろう垂直となって凄い迫力で我々を呑み込み、奥にはCS滝がゴルジュの門番のよう構え侵入者を威嚇している。
階段状の下部からCS部分をボルダームーブでかわし滝上に出ると、沢は右折。見上げるような連瀑帯を構成している。
1番目はヌメりそうな15m滝。ここはロープだが、しょっぱなは誰も手を挙げない。じゃあ遠慮なくと天久がリード。
瀑水を浴びながら滝を直上。爽快なシャワークライミング。
2つ目は望月が巨大CS脇のもろい壁に10mロープをのばす。3つ目は25mの直瀑。西村が遠目から登れるラインを模索するが確信が持てず、ここは安パイに高巻き。
とはいえ、巻きもよろしくなく、草付きの急斜面から岩間のバンドを斜上。
トラバースにロープ1ピッチを出し、そこから懸垂10mでバッチリ滝落ち口へと復帰。ルーファイは冴えてる。

その後ゴルジュは狭まり、岩に捻じ込まれた空間は小滝の連続で我々を応接。渓は紆余曲折を繰り返し、癒しのナメが出てきた頃、空が広がり三俣となる。
他Pの記録ではここを幕場としているようだが、まだ時間も13:30。まだまだ行けるぜという事で、前進。

両岸が大規模なスラブに覆われてきた先に、巨瀑が突如姿を現す。25mはあろう一条の滝は容姿端麗。上部はトイ状。水は中段で空中へ舞い沢床へと叩き落されている。
登山体系ではここを高巻きとされているが、よおく見ると弱点はありそうだ。
登りたい奴にリードしてもらうと言ったら、ヒロが買って出た。弱点があるといえど、砂利石を固めたような岩はハーケンを受け付けない。
空荷、クライミングシューズになり、上部のトイ状までが核心と思われた。ジリジリと体を引き上げる。
上部のトイは突っ張りで行けるかと思いきや、なかなか一歩は踏み出せない。下から見ているこちらにも緊張感が伝わる。
右壁のクラックにマイクロカムを決め、アブミをセット。続けてアングル2本を打ち込みシュリンゲアブミを掛け、瀑流を登りきったヒロが思わず雄叫びをあげる。
私が2番手を登ってみると、ランナーはカムが決まってればマシな方で、草を束ねてタイオフ、最後はシュリンゲもタマ切れで、
灌木にカムのシュリンゲを巻いたランナーや、デイジーチェーンをビレイ支点に使うなど、ギリギリのクライミングだったようだ。お疲れさん。
いい時間になり、そろそろテンバを求めたい。沢はここで支流を分け、一気に小さな流れとなるが両岸狭まったV字ゴルジュが続く。
4人がかろうじて横になれそうな河原を整地し、今宵の寝床とする。夜、にわかに雷雨となり、増水した沢にプアなテン場がのまれそうになるが、
何とか焚火も寝床も無事にやり過ごした。

●2日目(晴れ一時雨)
沢も小さくなったし、今日はもう源頭を踏んで山頂まで、と思っていたが、そんな思いはアッサリと裏切られた。
歩き出しすぐの15m滝を高巻き藪漕ぎ、懸垂で沢に復帰と思ったら、そこは切れ込み深いゴルジュの底。連瀑帯に逆戻り。
一見問題なさそうなナメ滝も手掛かり皆無のツルンツルンでヒロでも躊躇する始末。
ワレメ好きの望月がワレメをグイグイ攻め、後続はお助けロープでゴボウ抜き。続く癖のある滝群を西村、望月、天久で順序良くリードし、朝一番の上部核心が終了。
ここからは特段の悪場もなく、開けたガレ沢を闊歩して高度を稼ぐ。稜線直下からは笹藪を分け、30分程の藪漕ぎで大笠山ピークに到達した。

目次