大峰・白川又川(下部ゴルジュ)

日  程:2019年7月26-27日

メンバー:L木下(チーム84)、畑(東京YCC)、望月、神宅

報告者:望月

白川又川は大峰山脈核心部の弥山、八経ヶ岳に源を発し、大黒河谷、中ノ谷、火吹谷、岩屋谷、茗荷谷といった数多くの支流を持ち、出合から源頭まで約12kmと大峰東面では有数の大渓谷。昔から、「一に池郷、二に前鬼、三に白川又、四は四ノ川」と謳われてきた。本流下部のゴルジュからの完全遡行を目指す場合2泊3日は必要で、前半は思い切り泳ぐため、梅雨明け直後の一番暑い時期に、土日+1日の日程でトライした。残念ながら結果は敗退であったが、突破に成功した本流下部ゴルジュは渓相の美しさ、厳しさともに遡行価値が高いと思う。いつの日か八経ヶ岳の山頂までこの続きを詰めてみたい。

7/26 快晴

6:00  行者還トンネル(木下、畑と合流)〜車で白川又橋へ移動〜7:30 白川又林道アプローチ開始 8:40 入渓〜11:30  堰堤通過〜11:50  大黒河谷出合通過〜17:00 ビバーク地(フジノトコより数百m手前の左岸台地)

前日深夜に大阪を出発し、途中の道の駅で仮眠。早朝6:00に東京から来た木下・畑と下山予定地である行者還トンネルで集合し、車一台をデポして入山地へ向かう。茗荷谷出合に車を置いて、本流に並走する白川又林道を一時間ほど歩いたところのルンゼを下降し最後は懸垂下降で本流に降り立つ。しばらくは河原歩きだがとにかく水が綺麗で河原には巨岩がゴロゴロ。しばらく歩くとゴルジュが始まるが、ここはそれほど難しくはない。神宅リードで左岸のトラバース1ピッチの後、容易な高巻きで通過する。

その後堰堤と大黒河谷出合を通過後、核心ゴルジュへ突入。このあたりは両岸切り立ち全く逃げ場がない。リード木下、フォロー望月の2人でエアー式のライフジャケットを着け、まるまるロープ一ピッチ(約50m)を泳ぎとヘツリで遡るが、本流は突破不可能な2m滝に阻まれる。流れを利用して15mほど戻り左岸の弱点へ泳ぐ。足は立たないが古いボルトが壁に打たれており、セルフビレイを取った木下の体を踏み台に使い、望月が壁に取り付き人工登攀で10mほど上のテラスへ登って後続を迎え、なんとか突破した。この後、再度突破不可能な滝が出てきたが、手前の左岸カンテを畑リードで左岸(人工とフリーのミックス)を20mほど登り突破する。 その後渓相は穏やかになり、フジノトコ手前の左岸高台にビバーク適地を見つけ、焚き火で宴会。夜半までは平和な夜だったのだが…

初日。白川又林道スタート地点
Dive!
美しいゴルジュがひたすら続く

7/27 大雨のち曇り

11:00 左岸尾根から敗退開始〜12:30 林業小屋〜13:15 大栂山林道〜15:00  小谷川林道を経て西山観音前へ下山

台風接近で明け方に強い雨が降り始める。当初、台風の影響がそれほどなければ、通過後半日ほど増水が収まるのを待って沢登り継続しようと考えていたものの、雨は全く収まる気配なく、気づけば川幅が1.5倍くらい、水は茶色く濁り水位も1メートル近く上がってしまい、もう敗退するしかない。(後から調べたら予報より全然多い150ミリ以上降っていた)もともと右岸側へ渡渉して林道へ上がれば帰れると思っていたが、水量多すぎて渡渉もままならないので、左岸の尾根を登り見つけた杣道経由で小谷川林道へ下山した。

増水した本流。もう渡渉もままならない

今回は残念だったが、この続きをいつか必ず行きたい。また、大黒河谷、中の谷等数々の支流も興味深いので、地域研究のような形で一通り遡行して纏めてみたら面白いのではと思う。

白川又川全域の概念図と、予定したルート
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