2023年3月4-5日
3月の初めに見上くんを誘って宝剣岳に行ってきました。当初は錫杖の予定であったが、天気が思わしくない為、気軽に取り付ける宝剣へ転進となった。個人としては3回目の山域だが、ロープウェイアプローチで快適な花崗岩のクライミングを楽しめるこの山域はお気に入りだ。欲を言えばもう少し山域が大きいと良いのだが、西面も含めるとなかなか楽しめるルートが目白押し。
3月4日 東面中央稜
1P目 見上リード
灌木と岩を縫いながら、草付きを30mほど伸ばす。思ったより岩が出ていて前に登ったときより面白かった。
2P目 穴井リード
中央稜を左巻きに登る。途中のワンポイントがドライパートとなり核心か。10mほど進んだまさに核心部で先行パーティが大騒ぎとなっている為、暫くセルフを取って待機する。後半部はなるべき直上を意識してロープを伸ばした。フォローの見上くんも苦戦したようだが、楽しそうに登ってきた。
3P目 穴井リード
ハイライトのオケラクラック。見上くんからの交代の申し出を受けて引き続きリードする。先行がいるので除雪の必要もなく快適に登れた。クラックの長さと傾斜がちょうどよく気持ちよい。
4P目 見上リード
宝剣岳の頂上まで雪稜歩き。50mピッタリで頂上まで。
頂上で写真を取りロープを畳んで宝剣山荘に戻りテントでのんびり過ごす。いつもは西風が強い印象があるが、この晩は無風で暖かかった。
3月5日 西面天狗尾根
6時起床し、山荘の目の前のルンゼを下ると10分足らずで取り付きへ。テン場からこんなに近い壁はそうそうない。ルート図では取り付きが判然としなかったが、現場で見ると弱点は明瞭。ハーケン残置も確認できた。
1P目 穴井リード
出だしの凹角~カンテからハングを左トラバースし、稜線のコル状のビレイ点まで35m。見た目より登りづらく朝一から緊張する。ロープに角度がつき、スタックしやすいので十分にスリングで伸ばすとよいだろう。
2P目 見上リード
コルから稜線の反対側(南側)に出ると歩きの雪面が暫く伸びている。40m程の歩きで明瞭なチムニーの下まで伸ばす。
3P目 穴井リード
天狗尾根の核心ピッチ。15mほどのチムニーにびっしりとエビの尻尾が張り付いて悪そうだ。おそらく西面の強い風のおかげで発達しているのだろう。出口はハング気味に閉じており乗り越しも一苦労しそう。アックスで除雪しつつ、足は側壁のベルクラにそっとアイゼンをかけて壊さないように登る。ノーテンで調子よくロープを伸ばしたものの出口のハングは尻尾がよく発達していて、アックスが決まらず、たまらずテンションを入れる。除雪をして這い上がり、見上くんをビレイした。終了点からは10mほど懸垂し、歩いて山荘に戻りテントを撤収して下山した。
訪れる度に風が強く計画倒れに終わっていた西面のルートを登れて充実できた山行になった。宝剣は短くも中身の濃いルートが多く、岩も硬いので楽しめる。次回は西面の他のルートにもトライしたい。