アマダブラム

日  程:2019年10月10日-11月3日
メンバー:野木

BC
C1へ
C1
C2へ
C2
サミット
山頂
山頂からマカル
山頂からエベレスト

10月10日(木) 曇り
同じAGTに申込みを行い同行者となるK原さん、ガイドのカルジャンさん、コックのニマさんと共に、早朝3時半ラメチャップ行きのサミットエアー(ルクラまでの航空会社)バスに乗りタメルを出発。1回の休憩のみで、暗闇の中をバスは走り、明るくなった頃、7時前にラメチャップ到着。順調に8時過ぎのルクラ行の飛行機に乗ることができた。約45分でルクラに到着。ロッジで軽食をとり、10時半にK原さん、カルジャンさんと共に3人でトレッキングスタート。5月に来た頃は、ラリグラス、リンゴ、ナシなどの花が咲いており美しい街道であったが、すっかり秋を思わせる紅葉の景色、想像以上に寒い。4時間ほどでパクディに到着。ロッジのオーナーは、山野井夫婦を遭難から救った方だった。

10月11日(金) 曇り
 8時15分ロッジ出発、ナムチェに14時25分着。昼間は涼しく歩きやすい。5月よりもトレッカーが多く賑やか。ナムチェはガスガスで何も見えず、寒く散策する気持ちにもならない。

10月12日(土) 晴れ
 部屋の窓からのコンデリが美しい。クンデ・リ4050M経由で、クムジュン、ギャンツマへと移動。クンデリでは、ヒラリー夫婦と娘3人の碑があった。岩田さんたちのいる山テンカンポチェが見えないか探したが、雲が出ており、わからなかった。同行者のK原さんが高度順応できていないため、アマダブラムのBCまでのんびりトレッキングの予定。クムジュンは、岩岩しており美しい村で外人トレッカーが多く観光に来ている。国鳥ダフェが多い所で有名だが会えず。13時15分に、ギャンツマのロッジに入り時折散歩しながら探したのだが残念。

10月13日(日)晴れ後くもり
クスムカングル、アマダブラム、ローツェなど部屋の窓からの景色が素晴らしい。トレッキング中はエベレストもみえる。8時過ぎ出発、パンポチェ13時25分到着。途中、ニマさんと合流。夜からニマさんの調理した日本食をいただく。ここまではロッジの食事をいただいていた。夕方、ゴンパでプジョ(安全登山祈願)。マナスルで一緒だったダワシェルパと再会。ゴラクシェフへアマダブラムの装備を取りに行き、後日合流するとの事。ダワさんとカルジャンさんが私たちのクライミングシェルパ、ニマコックさん含め、3人が専属スタッフとなる。
カルジャンシェルパは、マナスルの時に私の専属ガイドをしてくれた。32歳でベテラン。日本語は少しわかるが、理解してないことが多く3割程度の理解力。英語はできない。体力技術は素晴らしく、デンディさんの片腕。
ダワさんは新卒で新人。ゲストの世話、気配りまではできない。エベレスト、マナスルを登っているが体力は、他のシェルパと比べるとない。歩くのが遅く、岩場もモタモタしている。ロープワークも良く間違えて、こちらから指摘しなければならないこと多々あり。

10月14日(月)晴れ
8時出発、10時50分ディンボチェ着。途中、新しい道をたくさん作っている。エベレスト街道は年々道が綺麗になってきている。この日は、ダワさんと一時お別れ。ダワさんはペリチェ経由でゴラクシェフへ向かった。ランチ後、5000Mの裏山へ往復4時間で高度順応。マカル、チョオユが見える。

10月15日(火)晴
ディンボチェからピストンで6時半から16時、チュクンリ5500Mへ高度順応。ローツェ南壁、バルンツェ、他山々が美しい。アマダブラムのバリュエーション北稜が綺麗である。今年は4人パーティが挑戦しているらしい。アイランドピーク、アマの北稜BC、ローツェ南壁BCがみえる。

10月16日(水)晴れ
8時15分ロッジを出発、パンポチェにもどりゴラクシェフに行っていたダワさんと合流。ランチ後、そこからアマダブラムBCに入る。13時50分にBC4550m到着。パンポチェからBCまでのトレッキングルートが快適。広いカルカを歩く。右にはクスムカングとカンテガが今までと違った角度から見える。デボチェも美しい。BCは、時期が早くテントは少なめ。個人テントはマナスルと同じ大きいテント、キッチンテントとダイニングテントは他のAGTマディソン、エベレストトレックと共有。ダイニングテントに、先客アメリカ人(軍人クライマー)が一人いた。一週間前にBC入りC2の少し上まで行ったが、新しいフィックスが張っておらず、雪の状態が悪く、アンカーも効かない状態で、諦めて明後日には下山、来年は11月に来るという。この3日間5パーティ以上とり着いたが、サミットで来たのは2名。シュガースノーの中、滑落するように下山していた。恐ろしい危険と話していた。いくつか写真を見せてもらう。

10月17日(木) 晴れ後くもり
BC、初めての朝は寒い。起きるとテントの中に霜がいっぱい。シュラフも真っ白。朝にデンディ(AGT社長)さんがヘリでBC入り。トレッキング客9名が昼過ぎに来て、一時賑やかになる。ランチ後は、一人で一時間ほど散歩。のんびり過ごす。

10月18日(金)晴れ後くもり
朝早く、来年来るね、頑張ってと言ってアメリカ人クライマーは下山していった。午前中は、5000Mまでカルジャンさん、ダワさん、K原さんと4名で散歩。午後は、デンディさん含め、5名で近くの岩場でユマール練習。「のぎちゃん、何か違うね。見て、見て」と言われながら10往復はしただろうか、上手くできない。BCは、夜の星空が最高である。

10月19日(土)晴れ
シェルパ二人は、上部キャンプの食糧を荷揚げ、私たちはレスト日。午後1時間ほど散歩。

10月20日(日) 雪
天気が悪いのにC1へ高度順応。8時45分発、15時10分C1に着。とにかく寒い、ガス、視界無し。5750Mまできたのに何もみえない、残念。C1まで長かった。最後の1時間半岩場ガレ場でフィックスあり。K原さんは岩登り雪山歩きがまったくできず時間がかかった。C1は、20張ほどのスペース。水、食事準備はシェルパ―がしてくれる。テントでのんびり過ごす。テントはシェルパ用、ゲスト用2つ使用。

10月21日(月)雪
 C2まで順応で上がりBCにもどる予定だったが、一晩中雪と風で朝起きると積雪がかなりあった。残念ながら即下山開始。トレッキングシューズでアイゼンなし、積雪のある岩場を慎重に下る。10時に出発、14時50分BCに到着。BCにも積雪あり。

10月22日(火)晴れ
ヘリが1日中飛ぶ。17名、パラグライディングチームが練習中。サミット後、パラグライダーで下りる計画らしい。滞在中、そのようなパーティはいなかったので、ただ飛んでいたかもしれない。午前洗濯、洗髪、午後にスペイン人3人とAGTロイヤルオーキットで来た日本人2人、私達二人でプジャ(安全登山祈願)。2人の日本人、スペイン人はアルパインクライマーで、私の次の目標アルパマヨに登っており、クライミングの話で盛り上がる。

10月23日(水) くもり
 デンディさんは、リエゾンがヘリでカトマンズへ帰る。アドバイス①もしK原さんが遅かったら、私はダワシェルパ(新人)と先に行っても良い、基本、先頭ベテランカルジャンシェルパ、川原氏、野木、ダワ氏4人で行動。②C2までは岩場、雪なしイエロータワーは小さい靴でないと登れない。C2までトレッキングシューズでいくこと。③C2〜上は寒い、ダウンスーツを着用。頂上までC2から休憩場所が何カ所かある、ゆっくり休憩しながら歩くこと。④明日明後日は雪予報、27日から4日ほど天気回復あるので、それに合わせてサミット計画すること。
アドバイスもらってもデンディさんはBCにはいない。この後、C2テント確保のための問題が起こる。皆、天気の良い4日にサミットしたいわけで、すでにBC入りのスペイン人2名、日本人2名x2パーティ、そしてドイツ人2パーティが24日にBCに来るのだが・・・24日以降討論が毎夜出発まで行われる。

10月24日(火) 曇り
 1時間半ほど裏の岩山を散歩。ダイニングテントは、ドイツ人2人が増え大賑わい。C2のテントにはいれる数が限られている。10張しかない。アマダブラムBC全メンバーでシェアする。誰がいつ出発するか討論。

10月25日(水)くもり後雪
 シェルパ二人は、C2へ荷揚げ。私達は待機。この日、26日スペイン人、27日、日本人2パーティとドイツ人1パーティ、アタック出発が決まる。夕方、ダイニングテントに3名アメリカ人が増える。

10月26日(木)くもり
スペイン人2人出発、スペイン人一人は体調悪く下山していた。私は、明日の準備。1時間半ハイキングをして、美しい湖を発見する。半分凍っており、逆さアマダブラムは見ることができなかった。

10月27日(日) 晴れ
サミットプッシュのためBCを8時25分出発。雪がしっかり残っている。15時10分C1に到着。C2のテント場がえる。夕日が美しい。C1は20張ほどのスペースだが、高度順応で登ってきた時よりも、100m下あたりから、無理やり多くのテントが張られていた。C1に入れない人は、HC(デポキャンプ)に入る人もいるらしい。

10月28日(月) 晴れ
あまりにもの残雪の多さに、皆ここから2重靴を使用。デンディさんからは、絶対ダメとアドバイスを受けていたが、99%皆が二重靴にアイゼンなしで歩いているので仕方がない。私はオリンポスなので更にアイゼンなしだと歩きにくくて厳しいと感じた。C1を8時35分出発、15時10分にC2到着、時間がかかりすぎである。通常13時にはつくはず。川原さんが岩場とアイゼンなしの雪上歩行ができない。途中、1日早く出発したスペイン人2人とすれ違う。サミットしてC1まで下山するとのこと。C2までは、岩稜をユマール使い登る。C2手前にイエロータワーと呼ばれる20mほどの5.7最高グレードの壁がある。私が着いた時には、とり着きに6名、同時登攀で二人が壁にへばりついてる、1時間以上かかり登りきった。いったい何時に取りつけるのやらと待っていると、今度は一人ずつの登攀になり、上部から赤い太いロープが降りてきて、赤いロープをメインにつけてユマールで登りだした。登るスピードはアップしたが、1人ずつなので時間はかかる。何時間待っただろうか、私の番になり赤いロープが降りてきてハーネスにつけて登り始める。ユマールでも腕力では女性は厳しい。足もアイゼンなしの超高所靴なのでつま先を立てることもスメアリングも効かない。恥ずかしながら、赤いロープに助けられながら登る。終了点に近づくとワン・ツー・スリーのかけ声が聞こえてくる。「引っ張り上げてくれて有難うございました」と心でお礼を言って先に進む。テントについてからシェルパー二人はデポ荷物をピックアップするために更に2時間行動するため、私が水と食事つくりをする。K原さんは休養。18時前にシェルパがテントに帰ってきたので夕食を取る。そして、23時半にサミットに向け出発。睡眠できず。 

10月29日(火) 晴れ
C2ここからアイゼン装着。服もダウンスーツに着替える。暗闇をヘッデンの明かりを頼りにユマールで岩と氷の壁を登り続ける。グランドタワーと呼ばれるミックス地帯も苦労した。通常9時には山頂につくが、ペースがあがらない。陽が出始めたころ、ダワシェルパと2人で少し先に行くが、ダワシェルパは若く自分が登るので精一杯。全くフォローしてもらいえない。フィクスロープだが登りにくく体力消耗が激しい。ベテランのカルジャンシェルパは、どうすれば客が登り易いかわかっておりフィックスロープを上手に張り、左右ロープをふり、登りやすく指示やフォローしてくれているのが良くわかった。ダワさん、おまけに私のエイトカンを落とす(すぐ拾えたが)。私の実力体力では、ダワさんとは2人で行くのは無理と判断。K原さんと行動を共にすることにした。8時ごろC3下でロイヤルオーキッドで参加のK保さんと会う。4時ごろに到着したが、風もきつく寒くて下山するとのこと。ここから6時間かかる、登るのかと言われたので「もちろん」と言って雪壁をすすむ。何とか13時前にサミット。超ゆっくりペースだったので、私は楽々歩きであった。天気がもって本当に良かった。記念写真をとり下山開始するが、下山がもっとK原さんは歩けない。信じられないが、C2に戻ったのは翌日深夜2時、26時間行動。一日遅れでサミットしてくる登りの人とも重なり、待ち時間も長かったこともあるが、K原さんは遭難状態だ!!とずっと言っていた。

10月30日(水) 晴れ
2時に戻りテントでほっこりしていると、外人が一人来て「ここは僕のテントだ。出ていけ」という。シェルパに聞いてみてと言うとC1に降りて行った。この人はサミットに向けて出発したが体調悪く帰ってきた。元のテントに戻りたかったが、数少ないC2のテントはシェルパガイド間での使用約束があり、私たちが入るべきテントであったため、彼は結局C2にはステイできず降りたらしい。朝7時起床、9時にはBCにむけてC2を出発。服はダウンスーツをぬぎ、アイゼンは装着せず、C1まで慎重に下る。C1下のフィックスロープを通過、デポキャンプ5600mからは、シェルパいなくても一人で大丈夫と思い、BCまで先に行かせてもらう。18時に到着。先にサミットしたスペイン人2人と喜びあう。

10月31日(木) 曇り
 休養。帰る準備をする。

11月11日(金) くもり
 9時にBCを出発、ナムチェまで。ギャンツマ近くで、国鳥ダフェと出会った。

11月2日(土) 曇り
8時過ぎにナムチェ出発、16時過ぎルクラ到着。

11月3日(日)晴れ
順調にルクラから飛行機でラメチャップへ、バスでカトマンズへ。

目次