日程 2023.7.28−29
参加者 L堀内、天久、太田、岡嶋、望月 (報告者:望月)
大峰山脈の最高峰、日本百名山にも数えられる八経ヶ岳(1915m)。
まさに近畿を代表するこの山の山頂に東から直接突き上げているのが、大峰山脈でも屈指の大渓谷である白川又川だ。
当会の創立60周年記念山行(日本全国を8の地域に分け、日本一(地域一)をテーマに山行を行う)の一環で、大峰の最高峰に突き上げる関西を代表する沢として、白川又川の遡行が計画された。
実は個人的にも、2019年に一度この沢の完全遡行を計画したことがある。その際は本流下部ゴルジュは突破したものの、台風接近で無念の敗退を喫した。残念ながら当時のメンバーで再度チャレンジすることは叶わなくなってしまったが、是非とも続きをやっておきたい沢であった。
(当時の記録)https://keisetsu.sakura.ne.jp/wp2/2019/07/26/p=568/
今回、幸い好天に恵まれて大峰核心部から流れ落ちる冷たい水を存分に浴び、白く輝くナメの美しさを堪能しながらスケール大きな遡行ができて大変満足だ。写真とともに簡単に振り返っていきたい。
(1日目)
(行程)
早朝に行者還トンネル駐車場に車を一台デポ〜上北山村・小谷川林道途中車止め地点(7:00)〜
大栂山山頂付近から山頂西側斜面をトラバースする廃林道へ〜1124ピーク南西側尾根、支沢を下降〜
白河又川本流に降り立つ(10:00)〜940m二俣手前でビバーク
(記録)
今回のルートでは本流の下部ゴルジュはスルーし、尾根を跨いで中流部が始まる「フジノトコ」付近に入渓した。林道歩きから伐採地につけられた登山道を登り、大栂山の稜線の南側をトラバースする廃林道に入る。沢沿いを急いで下降すること30分ほどで、エメラルドブルーに輝く本流に降り立った。
しばらくは明るい河原歩きが続くが、中の又谷、火吹谷の出合を通り過ぎると両岸が切り立ち、薄暗いゴルジュ地形に。
標高700m付近は、ゴルジュの両側のあちこちから湧水がシャワーのように流れ込む不思議な地形となっており、本流沿いは最後突破できない滝で行き止まりとなるのだが、非常に幻想的なところであった。少し引き返し、左岸から巻き上がる。
その後は泳ぎのパートが増えてくる。午後になって沢に日光が差し込まなくなり、水の冷たさに震えながら先を急いだ。
17時ごろ、ビバーク地点(940m二俣)に到着。盛大に焚き火を燃やして体を乾かし、宴を楽しんだ。
(2日目)
(行程)
行動開始、ヒョングリ滝を高巻く(6:00)〜1060m分岐でルートミス(7:00)〜
一旦谷を離れトラバースし、本流に復帰(8:00)〜八経ヶ岳北東側の支尾根(11:30)〜
八経ヶ岳山頂(12:30)〜弥山小屋(14:00)〜行者還トンネルトンネル(15:30)
(記録)
朝一に通過した二俣(右が本流)はいきなりヒョングリの登攀不可能な大滝だった。60周年記念旗を出して記念撮影し、右岸側から容易に高巻いて通過。
その後も順当に滝を越えたり高巻きしながら進むが、1060mの分岐でルートミス。右の支流に入り込んでしまった。(標高差100mほど登ると水が枯れたので気づいた)引き返そうとも考えたが、地形的にそのままトラバースして尾根を跨げそう、という話になり、30分程の高巻きで本流にリカバリーする。
そこからは、ところどころでロープを出しながら、滝をバンバン越えて一気に標高を上げていく。地形的にもそそり立っているのがわかるが、開放的な大滝が多い魅力的な詰めだった。最後はボロ岩のルンゼから八経ヶ岳北東側の支尾根に詰め上がった。山頂からはるか下に、遡行した白川又川を見下ろせる。たった二日で歩いたとは思えないくらい長い行程に見えた。
八経ヶ岳からは登山道を歩き、弥山経由で行者還トンネルへ下山した。個人的には下りで足をグネッてしまい、疲れもあってかなり遅れてしまったが、4年越しの目標だった完全遡行を無事終えることができて大変満足だ。久しぶりにがっつりといい山登りができたように思う。