中ア 宝剣岳第2尾根

日  程:1/29-30
メンバー:L天久、畠山、椿尾

1日目
サギダル尾根 -極楽平  – 宝剣岳南稜-宝剣岳-宝剣山荘前テンバ

2日目
5:00起床 – 7:00出発 – B沢下降-第2尾根登攀開始 -13:00宝剣岳 -13:15テンバ帰着- 14:05ホテル千畳敷

 昨年に続いて宝剣第2尾根の計画を立てた。沢やトラッドでの成長著しい畠山とは、こういった山行を組む事も初めてだし入会間もない椿尾とも組む事も初めてだったんで、まずはルートが短い第2尾根からという計画。ロープウェイでアプローチできるとは言え、そこは3,000mに手が届こうかという高所。しかも厳冬期。かつ、予報では最高気温-11℃、西風20mの予報。
 初日はサギダル尾根~宝剣南稜でピークを踏み、宝剣山荘前のテンバへ。軽く足慣らしのつもりだったけど、晴れ間が出て快適だったのは尾根の下部まで。稜線が近づくと空は曇天、強風と化し、よろめきながら宝剣山荘まで。山荘に吹き溜まった雪に半雪洞を掘りその中にテントを設営。ブロック積んで巻き込み風もシャットアウト。しかし、夜中の冷え込み&風は強烈で、用を足しに穴から出ていくのが初日の核心となった。
2日目の朝、幾分風は弱まった。昨夜の突風に比べるとそよ風のような強風。アプローチはB沢を下降。上部はかなり立っているが雪が締まっているので、慎重に下りれば問題なし。第2尾根末端で支度を整えいよいよ登攀開始。


●1ピッチ目 20m(天久)Ⅳ

 氷化したガリーを詰めるとチムニーにぶち当たる。右側壁にあるフレークホールドの誘惑に負け、体を右に向けてしまうが抜け口は左。微ハングしたチムニーにバック&フットで蝉になる。何とか体を反転させ左を向きたい。チムニー奥のCSに左手でアックスを掛け、右手に持ち替え無理やり体を反転。抜け口の氷化した雪面に左手のアックスを叩きこむ。効いてると信じて体重を預け、細かなスタンスにアイゼンで立ちこみチムニーをクリア。たいして登ってないけど、後続のビレイを考えると核心部が見えるとこでピッチを切っておくことにする。空荷でもあんなに苦労したのに、後続の2名は背負ったまま登ってきた。フリーの練習は大事。


●2ピッチ目 25m(椿尾)Ⅳ

 畠山にリードを指名。ルートは凹角で一見簡単そうに見えたがそうではなかった。序盤はスラビー、凹角の真下に来ると斜度は立ち上がり、スタンスないし手は逆相。アックス決まるような草付きも無しと、悪相全開。かなり頑張ったがここは交代。しかしこれは畠山に力が無いのではなく、ここを登れと指名したリーダーの目利きの甘さ。スイマセン。逆に、あまり経験が無いのにこんなに登れるのか、と今後が楽しみ。
2番手は椿尾がいく。体格差があるので、畠山が苦労していた凹角の入口はスムーズに抜けた。が、そこから恐怖のランナウト。ビレイヤーが下から見てる分には、足を張って安定してるように感じたが、あとからフォローで登ってみると、アックスは決まらない、足は無いで、ようこんなとこ登ったねと椿尾のポテンシャルに驚いた。トサカ状の岩峰左のスラブにロープをのばし、ピナクルでピッチを切る。


●3ピッチ目 45m(天久)Ⅳ

 頭上をCSに塞がれたチムニーにラッセルで侵入。最奥部からバックハンドフットで離陸し、CSに足を延ばしてトンネルから脱出。続くスラブに乗った細い雪にアックスを騙しながら刺し、雪稜へ抜けて一息つく。ここでロープ半分のコール。まだ伸ばさないといけない。雪稜を進むとブッ立ったジェードルが通せんぼする。左右の壁はスラブでホールドはおろか、アイゼンを引っ掛ける1㎜のスタンスも無し。しかし5m上のスラブ中腹には曲がったハーケンが1枚見え、どうやらここがルートで間違いないらしい。
 凹角の真ん中に堆積している僅かな土だけを頼りに、両手のアックスを打ち込み、効かないアイゼンステミングで火花を散らす。無理な体勢で何度も落ちそうになり、恐怖に耐えながら体をずり上げる。やっとハーケンに手が届きヌンチャクを掛けたところで人心地つく。悪いにもほどがあるわ。震える手で後続の為にアブミをセットしておく。オレも乗りたかった。。。上部スラブ抜け口は微ハングしていて、抜けたところはホールドの無い丸い岩。高度感を紛らわすようにデカめのカムをセットし、「落ちない」と自分に言い聞かせて這い上がる。コワイコワイコワイ。核心を抜け、ここにももう1台アブミを残しておく。ここはシビレタ。雪の斜面を進みハイ松とカムでビレイ点を構築して終了。


 その後はゆるい雪面をフリーで登り、脇のルンゼを経由して容易に宝剣ピーク直下の登山道へ抜けた。3ピッチと短いルート。全ピッチにクセのある核心があって、登ってる最中はシビレっ放しだったけど、今思えばいいルートだった。ここはリピートしても良いな。

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