日 程:2020年1月18-19日
メンバー:L天久、楠瀬、北村
1日目(曇り時々晴れ)
7:30奥社P出発 8:00奥社 10:10西窟BC 12:15八方睨ピーク 12:50 戸隠山ピーク(往路下降) 14:30BC帰着
2日目(晴れのち曇り)
8:40BC発 10:20奥社P下山
「戸隠はスゴイ!最高!メチャクチャ良いよ!」と話の端々で言っていたようで、例会後の飲みの席で北村愛ちゃんが近寄ってきた。「天久さん。あたしも戸隠に行きたいんです!」「じゃあ、行こう!」という事でこの山行計画が始まり、募集を掛けたらクッスンも手を挙げてくれ、にぎやかなパーティが出来上がった。本当はモッチーも来るはずだったけど、残念ながら体調不良で直前キャンセル。
大阪からの道のりは遠い。22時に江坂を出発し、信濃町に着いたのは4時。道の駅で1時間ほど仮眠をとってコンビニによってから奥社へ移動。
6時頃に駐車場に着いて2度寝し、明るくなってからやっとモソモソと動き出す。準備が整い歩き出す頃には7時半。雪は降ってないけど山は曇っていて見えない。
大鳥居をくぐると、真っ白な参道が一直線に山に向かってのびる。奥社まで2Kmの道のり。そのちょうど中間点にある随神門を過ぎると立派な大杉の並木が我々を奥社に導く。巷ではパワースポットと言われているだけあって厳かな雰囲気。体も温まり、いつものように安全祈願してから入山する。
我々が参拝している間に、ソロの若者が入山していった。冬にこのルートで他Pと出会うのは初めてだ。ラッセル三昧を期待していたのに、雪が少ないうえに先行者にトレースひかれてしまう。奥社からの急登もアッという間にこなし、百間長屋で若者に追いつく。
アイゼン、ピッケルがピカピカでこの先大丈夫かなと思って声を掛けてみたら、長野の人で先週も同ルートに来たそうだ。自分のことを棚にあげて物好きもいるもんだと感心する。
その後、岩壁直下をトラバースしていき、雪崩斜面を通過した先が本日のテンバ。西窟。先シーズン、ここまで空荷ラッセルをまわし7時間掛かったというのに、今回は2時間半で着いてしまった。時計を見ると、まだ10時半。稜線のガスも晴れてきて、本院岳へと駆け上がるダイレクト尾根も見え隠れしている。天気も回復してきているので、この日のうちにピークを狙うことにする。登攀具を身に着け不要な装備をここにデポしていく。
岩壁基部を回り込み、胸を突く雪壁を登りきると尾根に乗りあがる。そこからは鎖場の連続で、アックスを鎖に引っ掛けて乏しいスタンスにアイゼンで登っていく。雪が浅い分アイゼンが底を突き、かえって悪い。いつもはロープを出す胸突き岩も今回は鎖が露出し、それを頼りにノーロープで通過。
そこを越えたらいよいよ八方睨のピークが目に飛び込んでくる。稜線は手に届くような距離だけど、切れ落ちた岩壁が連なり、そこに至るには蟻の塔渡りを通過しなければならない。それは足を置くだけの幅しかない岩のナイフリッジが50m続く核心部で、本当にこれが一般登山道か!?と目を疑う。
今回のナイフリッジは雪が付いてない分、細っていて高度感抜群。ちょっとでも風があると立っては渡れない綱渡りだ。ここはもう何度もリードしているけど、いつ来ても緊張する。今回はモッチーにリードしてもらおうと思ったのに、生憎の病欠。リードしたい人?と聞いてみるも、2人から「どうぞ、どうぞ」と道を譲られてしまった。
ロープを結び、リッジをジリジリと攀じ登る。傾斜がなくなり、いよいよ手放しで立上る。ここから牛歩がはじまる。慎重に足を置く場所を見定めながら一歩ずつゆっくりと体重移動を繰り返す。両側とも数十メートル切れ落ちていて、足元を見てると否が応でも奈落が目に入ってくる。左は絶望的。落ちるなら右かな。途中のピナクルでランナーをとる。そのために腰を落とすのもバランスが必要。雪が少なくスノーバーは岩を突いて刺せない。
終了点が近づきもう一息と思ったところに、最後の難所、剣の刃渡りが待ち受ける。幅は20㎝まで細った小コル。恐怖の下り坂だ。片足で体を支えながら一歩を踏み下ろし体を下げていく。たった3歩に冷や汗をかき、何とか通過。何度渡っても緊張する。
鎖を掘り出しロープをFIXし、後続にコールを送る。楠瀬さん、北村さんは根性が座っていて、難なく通過してきた。カメラを向けるとポーズをとる余裕も。やっぱりリードできたんじゃないの?
帰りもあるのでロープは張りっぱなしにしておく。最後チムニー状の岩をひと登りで八方睨のピークに至る。稜線を目で追うと凛とした本院岳のピーク。そこから優美な白いラインが下り途中ギャップを連ねるのがダイレクト尾根。その向こうにはP1尾根と西岳の険しいルートが並んで見える。天気も良く、時間もトレースもあるので戸隠山のピークまで足を延ばす。10年通って初めて踏んだ。
ひとしきり景色を楽しんだら往路下降。さっき渡った塔渡りをFAXロープ頼りにもう一度渡り、1回の懸垂を交えてどんどん下ると、あっという間にテンバに到着。
時間はまだ14時半。このまま下山して下界で宴会という誘惑を振り切って、西窟でテン泊。ビンのまま担ぎ上げた日本酒で乾杯し、翌朝またまたのんびり出発。青空に霧氷が映えてご機嫌な下山となりました。 「戸隠は厳しいよ!」って吹聴してただけに、2人にとっては拍子抜けだったかもしれないけど、また是非登ってください。今度はリードで!