60周年記念山行 富士山沢登り 剣ヶ峰大沢岩樋部

日  程:2023年6月24日
メンバー:L天久、 SL北村、野木、松尾、下平、長崎、坂本
天  候:曇りときどき晴

プロローグ

関西蛍雪山岳会創立60周年。春から面白い山行がよりどりみどり。赤字な銀行の通帳とにらめっこしながら、どの山行に参加しようかもじもじしているところに突如として現れた富士山の山行。しかも沢登り?!これは迷う余地なし。
調べてみると、どうやら水のある時期は梅雨の限られた数日らしい。先人の参考写真をみるとなんだか岩はツルツル、、、?ラバーソールの沢靴を買う余裕はなく、とりあえずローカットの登山靴と、水がありますようにと願いを込めてフェルトソールの沢靴、ほんの少しの不安も丸めてザックに押し込む。
取っ散らかったワンルームに鍵をかけ、ひらりと大阪を飛び出す。

6月23日
22:00 大阪駅桜橋口高架下 集合

6月24日
1:00 長篠設楽原PA 到着

2:30 就寝

5:00 起床 晴れ
サクサクと準備して出発。
富士市に入るとぼんやり遠くにそのお姿。こんなに近くで富士山を見たのは生まれて初めて。豊かな裾の尾は終わりが見えない。
途中のセブンイレブンで最後の補給と朝ごはんを済ませる。

8:30 富士桜自然墓地公園
ここまで通しで運転して下さった下平さんに感謝。
ゲートは9:00オープンとのことだったけれど、あれれ、開いているぞ。するりと通り抜けて第一駐車場に駐車し準備。

今日はローカットの登山靴(他のメンバーはラバーソールの沢靴)を履いて、フラットシューズをザックに詰めて持っていく。一日だけの装備のなんと軽やかなことか、いらんものも持って行ってしまいそう。

広大な敷地をもつ、その美しい公園は10区画以上に分かれており、正方形をした同じ墓石が整然と並んでいて、なんだか日本とは思えない不思議な光景。富士山のお膝元で眠れるなんて素敵。うっかり死んだらここに骨を埋めてください(骨よ残れ)。

全体的に緩やかな斜面となっている公園を、登っていく形で突っ切る。公園の端っこでフェンスの扉を抜け、トラバースする道路を歩いていくと、涸れただだっ広い沢が姿を現す。沢の脇にある緩やかな斜面の公道をさらに登っていくと、仮設トイレと登山口が見えてくる。

160cm(と言い張っている)長崎

登山口を入るとすぐに土石流センサーが見えてくる。過去の土石流の水位(石位?)を見ると優位に私の身長を越していた。恐ろしい。

ここでハーネス装着。
土石流センサーの下から入渓、とはいっても水はないので不思議な気持ちである。すぐに滑らかな溶岩流でできたゴルジュの流線、自然の造形美が続く。初っ端からテンションがあがる光景だ。よくみるとその表面には細かい石で勢いよく削られた爪痕があり、土石流の凄まじさを物語っている。

細かい爪痕

地面には赤い土が堆積しており、ここが火山の麓であることを思い知らされる。たまにチョロチョロと水が流れており、みんなで小滝小滝といって笑い合う。

赤い土 画角が天才な下平さん撮影

松尾さんの力強い登り

憧れの先輩をビレイ 感無量

次々とでてくるその樋状の小滝をボルダームーブで突破していく訳だが、何せ岩の表面が滑らかすぎて、登山靴の私と野木さんは冷や冷やツルツル。所々にあるクラックに指を突っ込み、幅の狭さを活かしてキョンで乗り越えていく。

途中一ヶ所ロープが必要な5mほどの小滝があり、天久さんのリード(ビレイヤー:長崎)で中間地点に一か所支点をとり、長崎(中間に二重八の字)、松尾さんの順でトップロープしてもらう。元々の滑らかな岩の形状もあるが、苔のぬめりもあり、少しヒヤリとする。

さらに行くと広大な河原と、遠目からみてもただの崖にしかみえない涸れた滝が見えてくる。返しの部分もあり、高巻きを心に決めつつとりあえず近づいてみる。
結局右側から高巻く。
息を切らしながら登った先にでてきたのは何とも白く美しい、、、

道路。
ガッカリするのはなぜなのか。

拍子抜けしちゃったのもあり、ここでお昼休憩。空を見上げるといつのまにやら曇天に。ここまでは太陽がキラキラと顔を出していたのに、嫌な予感。今日は濡れる予定じゃないんだよぉ(沢登りとは)。

神秘的な涸れ沢

崖の上から その背中 激渋

再び入渓し、崖の上から川下を眺めると、土石流の勢いでその崖は段々と退行しているのが断面から分かる。
そこから再びゴルジュが続く。

はたまた広大な河原にでると、突き当たりには到底登れそうにない被りの岩に囲まれた変な空間がある。登れないくせに色々な部分に手をかけ足をかけオブザベして登った気分。もちろん頭の中の自分は華麗に突破している。みんなで、にっしーさんならこうやっていくよねとか言う始末。

途方に暮れる長崎

ダサいポーズしか 思い浮かばなかった長崎

 

結局高巻くことに。天久パーティーが選んだルートはなかなか面白そうで、少し崖をトラバースしたあと巨大な木のうろを通っていくものだったが、途中のルートがグズグズすぎてとても支点を取れそうにない。ふと足元を見ると立派な牡鹿の骨が転がっている。トラバースに失敗したに違いない。R.I.P.少し下ったところに非常に高巻きしやすいルートが出てきて苦笑い。北村パーティーはここを登ったに違いない。その後再び合流。

グズグズな足元や支点

 

トラバースに失敗したかもしれない せんと君(勝手に命名)

全体的に水もなく斜面も緩いので登っている感覚はなく、正直お散歩。
それでも景色は美しい。
なんとも素敵なB級沢。
最後はコンクリートのダムで強制終了、それでもギリギリまでゴルジュが残っていて非常に楽しかった。

下山は登山道や沢横の尾根を利用。尾根にはケーブルが続いており、従業員のものと思われるトレースがばっちり残っていて、非常に歩きやすい。途中、野苺やウドが採れたり銀竜草を見つけたり。
山の楽しみ方は無限大。その懐の深さに畏敬の念。

野苺 山のルビーみたい  この後 坂本君から横取りする厚かましい私

14:00 富士桜自然墓地公園 到着

ここから車で10分ほどの富士宮焼きそばの名店「むめさん」へ。席数が多く、土日に関わらず、あまり待ち時間はなし。10人くらいの団体でも入りそうな個室へ通されみんなで焼きそばとお好み焼きを分けっこ。たらふく堪能。
運動後の粉もんに全細胞がスタンディングオベーション。ビールがあればなおよしとは運転手の前では口が裂けても言えないが。

次の日に備えて買い出し後、須走口第二駐車場へ。五合目はガスガスで次の日が少し不安だけど、レッツ宴会、否、お食事会。

20時就寝
明日もワクワクだ~~。

関西蛍雪山岳会60周年記念山行 イェイイェイ

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