白山 三方崩山大ノマ谷第4岩稜

日  程:2/26
メンバー:L天久、西村、北村、大井 


5:45 道の駅飛騨白山出発 - 8:30 大ノマ谷出合着 - 9:50 1,200m付近 10:30 取付き ー 17:20 登攀終了 - 18:30 大ノマ谷出合 -     20:30 道の駅飛騨白山 - 翌2:00過ぎ 帰阪

 暗いうちに道の駅を出発し、ワカンを履いて一部斜面になってしまった林道をアプローチ。2月とは思えない陽気に晒され、大汗をかいて大ノマ谷を下から詰める。本当は2人ずつペアになって別れ第2、第3岩稜を狙ってたけど、腐り雪のラッセルがはかどらず、1本手前の第4岩稜を全員で登ることにした。

 見上げる雪稜はテッペンも案外近くに見え、広い尾根はどこでも登れそう。天久-大井、西村-北村のペアに分かれ、おのおの好きなラインを引くことにした。以下、天久-大井Pの登攀内容を中心に報告する。西村-北村Pが稜の左側から取付くというので、我々はキノコ雪が群生している稜の右側壁のから取付く事にする。雪壁を詰めていき、僅かに顔を出している岩壁基部の灌木にセルフビレイをとって登攀開始。 

●1ピッチ目 30m(天久)

 キノコ雪が積み重なる複雑なライン。岩とスノーリッジの凹角を抜け、一段這い上がりキノコ雪ルーフ下の踏み抜きそうな雪を斜上。その後陽の当たる雪壁を直上していく。暑いので松の木の下、日陰に支点を求める。

●2ピッチ目 10m(大井)

 ラインは右にも左にも取れそうだけど、左のリッジを目指す。キノコ雪は小さいけど、慣れない乗っ越しに苦労している。その後キノコの迷路にハマったので、短いがピッチを切る。後続はスタンディングアックスビレイで迎える。

●3ピッチ目 45m(天久)

 右のキノコはブッ立ってて登れませんでしたというので、どんなもんかと覗いてみる。なるほど。これは初心者には手に負えないね。キノコの隙間、3mほど雪の垂壁になっている。スコップで崩し、スノーバー1本ランナーとって一段上がると緩斜面が続く。

●コンテ 15m

 すぐ前方にデカいキノコ雪が見えるが、下まで緩斜面だしスタカットきるのもメンド―なんでコンテで移動。

●4ピッチ目 40m(天久)

 2段に積み重なるキノコ雪。1段目のルーフは自重で斜面から剥がれそう。こいつに乗ってトラバースから上のキノコに乗り移りたい。ピッケルで突いてみると軽く突き刺さる。雪の下は果たしてどこまでが空中でどこから地面と接しているかよう判らん。緊張しながら乗っかった。上のキノコを乗っ越すと、また緩斜面。

●5ピッチ目 35m(大井)

 先が見通せる箇所なので大井にリードを任す。ジグザグと小キノコをかわし、正面のキノコに挑戦。しっかりした木にランナーを取ってスコップで登路を刻む。頑張って突破し大井歓喜の叫び。

●6ピッチ目 20m(天久)

 その先は小岩壁に乗っかったデカいキノコ。下から見上げた終了点だろうか。左右は切れていて正面から取付くしかないが岩壁基部の雪はシュルンドを覆ってるだけなので踏めない。アイゼンアックスで岩を登って灌木で一旦セルフビレイをとり、ハンギングのままスコップで頭上の雪を削っていく。削ってはスノーバーを高い位置に差してセルフを取り直し、それを3回繰り返して4mほどのキノコを突破。「ふぅ。これで終わったぜ」と思ったら先には目を疑うようなデッカイキノコが!

 既に15時と時間も時間なんで、我々のロープをFIXし大井を上げる前に西村-北村ペアにアッセンダーで登ってもらい、次のルート工作をお願いする。

●7ピッチ目 35m(西村→天久)

 プラトーの先に鎮座するは巨大肉まんのようなキノコ雪。まさにラスボス。その前衛には2段の小キノコ。ロープをたたんでトレースを追うと、ちょうど西村がキノコと戦っていた。そこはナイフリッジからの取付きで右も左も足場がなく、しかも前衛キノコの真ん中には自重で割れたかタテにクラックが走っている。いつかきっとパカッと割れて谷に落ちるんだろうな。人が乗った瞬間に落ちるのだけは勘弁してほしいな。

「おぉ、怖わっ!」正常な人にはあまりお勧めできない状況を理解した。しかし行くしかない。選手交代で近づき、全て見なかったことにしてキノコに乗る。落ちるなら左。自分を騙しながら肉まん基部へ。1mのギャップを滑り降りるとシュルンドが口を開きトラップにハマりそうになる。油断ならんわ。灌木でランナーとってひと安心するも、ここからが核心。右はルーフが張り出してるし足元もスッパリ切れているので却下。正面はルーフ高さ5m以上ありそう。残るは左。覗いてみるとルーフ下にトラバースラインが見えた。しかしそこは雪塊が割れて落ちかけており、通過するにはそれに乗らねばならぬ。スノーバー1本ランナーとり、落ちない落ちないと言い聞かせて渡る。これを越えシワシワの雪壁をひと登りで肉まんの頭に出た。

 正面突破も良いが、空中トラバースも捨てがたい。なかなか刺激的なルーファイ。やっぱりこういう地形を読む雪稜は沢ヤの真骨頂やと自画自賛しながら後続を迎え、皆で完登をよろこんだ。

 7時間掛った雪稜も隣の沢から10分くらいであっけなく下降し、ヘッデンの世話になる頃に大ノマ谷の出合に到達。今は星も出ていて天気が良いが、明日は午前中を中心に強い降雪予報。速攻で道の駅まで下山し、布団で寝たいという理由でそのまま帰阪。

 お隣の第3岩稜は傾斜も強く、ちょっと手ごわそう。次回はキッチリ準備して取付こう。

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