北海道山スキー遠征

2022/2/26〜3/10 報告者:望月

2月末から3月の前半にかけて、二週間ほど北海道へ山スキー遠征に行ってきた。今冬シーズンは時間だけはたっぷり取れるので、とことん山スキーに集中したいと考えていて、この遠征はその中でもハイライトの一つのつもりで昨年から準備してきたので、無事旅を終えることができて喜びもひとしおだ。現地では残念ながらあまり天気には恵まれなかったものの、山に入れない(イコール宿から出られない状況)時は温泉と酒ざんまいでそれなりに楽しめた。

今回は前半でニセコ周辺(チセヌプリ、羊蹄山、岩内岳、ワイスホルン)、後半はもともと北海道から陸路で南下しながら東北で滑るつもりだったが、予定を変えて札幌近郊の山(漁岳、朝里岳)へ行った。まず、東京に住む前からの山スキー仲間(チーム84、M野氏)の家まで車で行き、彼の車に必要な装備を全て積んで、2/26夕方茨城県大洗港発のフェリーで20時間かけて北海道の苫小牧へ。苫小牧で一週間分の食料と酒の買い出しを済ませ、ニセコへ移動して長野から飛行機で移動してきたもう一人と現地で合流し、ニセコ五式温泉旅館の別館(自炊棟))に2/27〜3/6まで一週間滞在した。キッチン暖房温泉完備で、さらに幸い他のお客さんもあまりおらず、とても快適に過ごせた。吹雪でほとんど宿に閉じ込められた日もあったけど、ここならば沈もまた良し。ざっくり紹介すると以下の通り。

・今回は一泊約4000円、自炊でかかった食費はだいたい一人1000円/日。台所では炊飯器、電子レンジも使用可。
・洗濯機は無し。(今回は無理言って本館の洗濯機を一回1人300円で使わせてもらった)
・温泉は源泉掛け流しで24時間いつでも入れる。
・TVは地上波は映らないが、なぜかBSは観れる。
・携帯の電波はOK。宿にはWi-Fi環境はないが、持って行ったモバイルルータは問題なく使えた。多分テレワークも可能。
・目の前にニセコアンヌプリ北壁やイワオヌプリがあるので、宿からスキーを履いて山を滑ってそのまま帰ってくることも可能。
・問題は町から結構離れていることと、大雪が降られると朝イチは除雪が済むまで車を出せなくなること。

五色温泉別館のキッチン

2/28 スキー初日、かつあまり天気も良くないため、足慣らしでニセコ比羅夫ゲレンデへ。視界不良のため山頂行きリフトは閉鎖されており、山頂から北壁への滑走はできず。雪はやはりとても快適なパウダーで、平日のためそれほど混んではいなかったが、やはり非圧雪斜面コースは午後にはギタギタに荒れており、ほどほどに楽しんで切り上げた。

3/1 チセヌプリスキー場〜チセヌプリ山頂(1134m)手前まで往復。
9:25 スキー場駐車場(550m)
10:30 リフト終点(830m)
11:30 チセヌプリ南斜面(980m)ここから滑走開始
12:13 スキー場駐車場(550m)
ここは、五色温泉のすぐ近くにあるリフト一本、コース2本のみの小さなスキー場跡地(今でも不定期にキャタピラ車での営業のみしているらしい)で、隣には自衛隊のスキー部隊の訓練用ゲレンデもある。ここは以前からスキー場のお客よりもむしろチセヌプリやその周辺のバックカントリーに入るスキーヤーの方が多かったのでは?という気もする。廃リフトの横を緩やかに登り、リフト終点から疎林帯を回り込んでもうひと登りし、チセヌプリ本体の標高1000手前まで登ったものの、樹林がなくなるあたりからはカリカリバーンの急斜面で風も強く、山頂は諦めた。滑り始めて少し高度を落とせば雪も柔らかくなるが、あまり視界はよくないのでゆっくりと降りて旧ゲレンデ跡の緩い谷筋に出て、そこからは広い斜面を楽しく滑って来れた。ゲレンデからチセヌプリの往復だけなら半日有れば余裕で行けるし、樹林の中は風もマイルドなので天候のよくない時には良いコースだと思う。

チセヌプリスキー場

3/2 羊蹄山の南面、神社ノ沢コース。
 9:00 神社の沢コース登山口(300m)
12:00 標高1230m ここから12:20滑走開始
13:05 登山口(300m)
ニセコから東へ20キロくらい車を走らせ羊蹄山へ。ここは今回のメイン目的の一つで、麓の天気はわりと良く、大きな山体が遠くからも確認できテンションが上がる。山頂近くは曇っており風も結構強そうだ。到着するとすでに車が数台停まっており、手早く準備をして9:00から歩き始める。出だしはひたすら平らな道で、なかなか山が近づいてこない。30分以上歩いてようやく本格的な登りが始まった。樹林の中、ひたすら先行者のトレースを追ってジグを切り登っていく。

羊蹄山


午前中はまあまあ天気良かったものの、標高を上げるにつれて強くなる風と雪。じわじわと傾斜も強くなってくる。12時までかかって標高1230m地点まで登ったところで前進をやめて切り上げることにしたが、この標高からでも歩き始めからの標高差は900m以上で、大斜面を十分楽しめた。3時間かけて登った斜面だが、滑りは一瞬で、動画や写真を撮ったりしながらゆっくり降りたつもりだったが13時過ぎには車に帰っていた。春の晴れたタイミングなら山頂も狙えると思うが、今回はここまででも十分満足。

羊蹄山の斜面を滑る

3/3、朝から吹雪のため停滞日。結局この日は宿から一歩も出ず温泉と酒ざんまいだった。タイミング的にはちょうど良いレスト日だったかも。

3/4、積丹半島 岩内岳。
 9:35 IWANAI RESORTスキー場駐車場(200m)
12:25 岩内岳山頂(1085m)
14:00 下山(駐車場)
ニセコから車を1時間ほど走らせて、積丹半島の根元にある岩内岳へ。IWANAI RESORT スキー場から山頂を往復した。今回の遠征で初めて終日良い天気で、初めて山頂を踏むことができた。

岩内岳


もともと考えていたルートは、スキー場からではなくその西隣の森林公園の尾根を登るつもりだったが、登山口の近くが住宅地で駐車適地を見つけられず、仕方なくゲレンデの端を廃リフト2本分歩いて、そこから西の谷をトラバースして目的の尾根に乗る。日本海からの季節風が遮るもの無く直撃するせいか、上部はかなりカリカリ斜面だった。冷たい風を我慢して山頂1085mに立ち、写真だけ撮って急いで滑走準備。山頂の肩までは慎重に滑り、傾斜が緩くなって少し緊張が緩む。この辺りは全体にのっぺりとした地形で、雷電山、目国内岳等のピークも近く、山スキー向きの良い斜面があちこちにある。


往路の尾根を快調に滑り一休み。そこから行きにトラバースした谷へ向かいパウダー斜面を気持ちよく落とし、岩内スキー場へ戻った。次来たら、ニセコ連山から雷電山を経て日本海までを一筆書きで縦走してみたいと思う。また、帰りに雷電海岸に立ち寄り氷瀑見物。ここも一度は登りに来てみたいところだ。

雷電海岸

3/5、ニセコワイスホルン
この日の飛行機で帰る諏訪の知り合いをニセコ駅で見送ってから、札幌の友人と合流する。そもそもは悪天のため、山には入らずスキー場で滑る予定だったが、なんと強風のためゴンドラが動かないとのこと。どこかこんな日でも行ける山はないかと考えた結果、無理と思ったらいつでも敗退できるワイスホルンのゲレンデ(リフトはすでに動かず、不定期でキャタピラ車が営業しているらしい)の横を登った。しかし、リフト一本分登ったところで吹雪が激しくなり視界もなくなってきたので、結局無理せずここで前進を諦め、早々に降りてきた。登り30分、下りはわずか5分のお散歩だった。

ワイスホルンのゲレンデにて

3/6にニセコ五色温泉を引き払い、札幌へ移動する。遠征の後半は札幌周辺の山々を登ることにした。コロナ禍のせいで札幌中心部のビジネスホテルに異常に安く泊まれた。(3泊で7000円程度、但し駐車代は別)まだ飲食店も時短営業していたこともあり、本来ならば賑やかであろうススキノの街もも閑散としていた。

3/7、札幌南方の山、漁岳(いざりだけ)1318mへ。

8:55 入山(530m)
11:30 主稜線に乗る(900m)
13:10 漁岳山頂(1318m)
13:25 山頂から滑走開始
15:25 下山

漁岳

札幌の街から南へ1時間程度、支笏湖の手前に登山口があるが、山に取り付くまでの林道区間がかなり長く、トレースもないのでラッセルに苦労する。(この日は他には歩きのパーティが一組だけ)1時間半ほどの林道歩きの後に尾根へ取り付くのだが、ここからの登りも深いラッセルが続きペースが上がらない。天気は良いもののこれでは山頂は無理かもと一時諦めかけたが、主稜線に乗ってからはいい感じに雪がクラストしてくれてて一気に歩きやすくなりペースアップ。山頂直下の急登をなんとか越えて、強風吹き荒ぶピークを踏むことができた。


ピークからは支笏湖、恵庭岳、札幌岳、無意根山、余市岳といった札幌周辺の山々の眺望が素晴らしい。楽しみにしていた山頂からの滑走は、山頂直下はカリカリ雪のおかげで残念ながら修行モードだったが、その後はところどころパウダーを楽しめる斜面もあり。最後の長い林道歩きには閉口したが充実した日帰りルートだった。

3/8、札幌国際スキー場〜朝里岳(余市岳を計画したが悪天のため途中引き返し)
9:40 札幌国際スキー場ゴンドラ(610m)
10:20 ゲレンデトップ(1089m)
11:10 朝里岳山頂(1281m)
12:10 一度登り返して1200mから再度滑る
12:40 スキー場の駐車場(610m)
札幌国際スキー場から、札幌市内最高峰の余市岳(1488m)を目指す予定だったが、朝からあまり天気が良くない。ゲレンデトップから歩き出すとトレースは何本もあり迷うことはなかったが、朝里岳の斜面を登っていると完全にホワイトアウト状態になり、だだっ広い地形もあって山頂の位置がわからないほどだった。この先も迷いやすい地形のため、余市岳を登るのは断念して朝里岳から往路を引き返すことにする。


滑り始めも視界が悪く、山頂付近は雪が硬くてトレースも明瞭に残らないので、しばらくはGPSを見ながら慎重に滑って行くが、しばらく行くと視界がひらけ、程よい傾斜の快適な広い斜面に変わった。あまりに良い斜面だったので標高差70mほど登り返して再度滑ってから、ゲレンデへ戻りそのままスキー場の麓まで一気に滑り降りた。

3/9、アイヌの博物館(ウポポイ)を見学した後に午後に苫小牧発新潟行きフェリーに乗船し、長く滞在した北海道を離れた。出航したのは苫小牧東港というところだったが市街地からかなり離れており、港の周りは何もない原野がひたすら広がって道端には野生のシカが数百頭群をなしているような、日本離れしたすごいところだった。

苫小牧東港
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