日時 2021年8月25日〜27日
メンバー 望月、 T.M(会外)
行程
8/25 上高地―横尾―涸沢
8/26 涸沢―滝谷ドーム中央稜―涸沢
8/27 涸沢―滝谷ドーム北壁右ルートー涸沢―上高地(下山)
滝谷で登るのは2016年に滝谷出合から遡行し第四尾根をやった以来、2回目となる。今回は涸沢ベースでドーム西壁、北壁を狙い入山した。
8/24の昼に大阪を出発し、平湯で仮眠。初日は雨の上高地を出発し、のんびりと涸沢までアプローチした。涸沢ヒュッテに着いても雨は止まず、今や下界ではご禁制の生ビールを飲みながらも、こんな天気で翌日果たして登れるのか不安だった。
翌日8/26の朝方まで雨は降り続くも、6時頃には天気が回復したのでのんびりと準備して7時前に涸沢を出発。初日はドーム西壁の予定から中央稜へ変更する。
天気は回復してきたが、標高差800mを越えて北穂の稜線へ出ると夏にもかかわらず吹き上げる西風は冷たく、ガスも濃くて視界はあまりなし。ドーム中央稜の取り付きへは、稜線からクライムダウンと第三尾根T1からの懸垂下降一回で降りれるが、この下降点だけは真新しいハンガーボルトが打たれていた。
ドーム中央稜(5P)10:42スタート、13:30終了使用ギア:カム0.2〜3、エイリアン数本、ナッツ
1P目 V- 凹角からチムニー (望月)下部は凹角左のフェイスを登り、途中からチムニーに入る。前日の雨で中はかなり濡れていた。チムニーではザックが邪魔になるので、ハーネスに吊るして登攀した。終了点手前のチョックストーン越えが若干緊張するが、カムでプロテクションを取れる。このピッチは残置無視でリードした。
2P目 Ⅳ カンテからスラブ(T.M)高度感のあるフェイス、カンテから左壁へトラバースしてから数歩のスラブが核心。残置ハーケンは多く怖さは無い。
3P目 歩き(望月)一度傾斜は緩み、上部壁の取り付きまで歩きと易しいクライミング。ただし一箇所悪いトラバースがあり、カムで支点を取って通過。
4P目 Ⅳ 凹角から小ハング越え(望月)核心の小ハングは下向きチョックストーンを掴んで豪快に越える。残置カム2本あり。
5P目 Ⅳ 凹角(T.M)快適な凹角を登り、最後はハングを右から越えてトップアウト。
なお今回、ルート中に残置スリング、クイックドロー、クライミングシューズ片足などが色々残されており、先日の8/5に発生した遭難事故に関係するものかもと思ったため全て回収して上高地の警察へ届けた。その後翌日行こうと考えていた北壁へのアプローチの確認を行い、ロープ等の登攀ギアを北穂高のキャンプ地にデポして涸沢へ戻った。
8/27は4:00涸沢発でアプローチし、ドーム北壁の右ルートを登った。トポでは縦走路から歩いて取り付きに行けるとあったが、イマイチわかりづらく前日に見つけたリングボルト1、ハーケン1の懸垂支点から、懸垂下降30mで北壁取り付きのテラスへ。かなり大きな垂壁だ。
ドーム北壁右ルート 2P 7:00スタート、9:45終了
1P目 30mフェイス推定5.10b/c(T.M) ボロいハーケンやマイクロサイズのカムで10bくらいのムーブをこなす必要あり。フォローでもなかなか怖い。
2P目 30mクラック〜凹角〜リッジ推定5.10a(望月)遠目にもスッパリと綺麗に割れたクラックが続く魅力的なピッチ。出だしの10mほどの垂直のクラックに、ハンド、フィスト、ワイドも少々あり。キャメ0.5〜3までの1セットを位置をズラしたりもしながらなんとかオンサイトフリーで突破し、その後は快適な凹角〜リッジへとロープを伸ばして上のテラスまで。グレードとしてはちょっと辛い10a位か。ロケーション、天気も最高の中、印象に残るクライミングができたと思う。
3P目 15mフェイス Ⅲ?(T.M)易しいクライミングでドームの頭へ抜ける。終了後、下降支点に残置したアプローチシューズ、スリング等を回収し、涸沢へ下山した。北壁では最高な天気の下、アルパインらしからぬ爽快なトラッドフリークライミングを楽しむことができた。