戸隠 P1尾根

2019年3月30日〜31日

参加者:Leeさん(会外)、望月

行動記録
3/30
7:00 上楠川公民館出発、沢沿いの林道から尾根に乗る。当初雪はほぼないが、途中から雪が出てくる。
9:00 天狗原 大したラッセルもなくP1尾根に取り付く。
11:00 クサリ場(5mほどの壁。ホールドスタンス乏しくなかなか怖い)
12:00 熊の踊り場
14:00 無念の峰直下(ビバーク地)
3/31
7:30 ビバーク地発
11:30 天狗原
13:00 上楠川公民館

雪稜登りが案外好きである。とはいえシーズン最盛期の白馬主稜や劔岳源次郎尾根のような人気ルートは、どうしても先行者のトレースを追うのに終始して、結果ルートファインディングや登攀の工夫無しでも体力さえあれば登れてしまう場合が多く、そういう山は正直物足りない。(もちろん降雪後一番乗りでラッセルすればそんなことはないのだが)

やはり雪山の面白さは、登山道などなくても、無雪期にはあり得ないライン取りで、登れる(降りれる)かどうかを見極めながら自分の判断でラインを引けるところかと思う。無雪期には単なる藪尾根、ボロ壁、ガレ沢等々が、雪や氷により見栄えも良く、登っても面白い好ルートに変貌する。また頼りない藪にスリングで支点を作り、ランナウトに耐えながら、ダブルアックスとキックステップ、時に木登り、あぶみ、キノコ崩しなども交え泥臭く高度を稼いでいく、そんな登り自体もアイスやスポートクライミングとはまた違う面白さがある。最近は無雪期の山に入った時にも、冬になったらこの尾根や谷はどうなるのか想像しながら歩いたり、この滝は凍るのかと思ったり、スキーに適した斜面もつい探してしまう。

前置きが長くなったが、3月末に戸隠の雪稜へ初めて挑戦し、登山としてはピークを踏めず敗退したが、なかなか面白い雪壁クライミングができた。登る前は雪稜シーズンとしては遅いかもと予想していたが、実際に登山口には雪はほぼなく、山も見えない位置なので何が待ってるのかかなり不安にさせられる。しかし2時間半ほどアプローチで天狗原まで来ると、下から見上げる雪稜核心部は雲に覆われ、まだかなり雪がありそうな雰囲気だ。


行ってみると、前半の雪稜部分はキノコ崩しもなく、一箇所怖いクサリ場があったくらいで、大して苦労はなかったが、熊の遊び場からは結構立っている雪壁を2ピッチほどロープを伸ばし、弱点を突いてルートを切り拓いていく。支点はブッシュ以外はスノーバー一本くらいしか取れないが、キックステップで立ち込んでダブルアックスで割と快適に高度を稼いでいく。

雪壁を越えたところ(無念の峰ピーク)でビバークを予定していたが、強風の為、吹きさらしのビバークは避けたいので無念の峰から標高差20mくらい手前の急斜面に無理やりテン場を整地してビバークする。しかし夜半から明け方にかけてかなりの降雪があり、朝になると30cmくらいの積雪でテントはかなり埋まっていた。さらに雪が止む気配もないので、これ以上進むのはリスクが高いと判断して敗退を決め、テン場直下から懸垂下降3ピッチで熊の遊び場のあたりまで降りる。

行きのトレースはほぼ消えており、雪稜下りで枝尾根に迷いかけたりもしたが、3時間ほどの下りで山裾まで戻ってきた。下ってみると雪は止み、晴れ間も出てるが、稜線付近はまだ雲に覆われ、おそらくまだ雪は降り続いているだろう。敗退は残念だが、なかなか内容は充実した山行が出来たので、来年もう一度チャレンジしたいと思う。大阪からだととても遠い(片道470キロ)のがネックだが…

(今回は往復一人で運転した。核心はそこだったかも)

なお今回駐車した、上楠川公民館の橋の手前の空き地だが、運悪く車を置いた場所がぬかるんでタイヤが沈んでしまい、下山後JAFに救出してもらう羽目になった。注意要。

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