2007年5月3日~5日
メンバー: L新谷、岩田、藤本、吉田
5月3日 晴れのち曇り
6:50馬場島出発~7:30白萩川取水口~8:25池ノ谷出合~9:00雷岩~9:40小窓尾根上~10:30 1614m~12:15 1990m~13:00 2121m
馬場島には全く雪が無く、周囲の山も標高の低い部分は黒々としており、あらためて今冬が暖冬であったことを思い知らされる。小窓尾根の下部は藪漕ぎで苦労しそうだ。
2~3パーティと前後しながら白萩側左岸の林道を歩く。新谷が2005年の年末に入山した時は、馬場島~赤谷尾根末端まで、4人でラッセルしてほぼ1日かかったのに、今回雪がないと30分くらいで着いてしまった。
取水口で休憩し、この先のルートを考える。残雪が少ないため、白萩川はほとんど埋まっていない。水量もかなりあり、渡渉に苦労しそうなので、沢筋のアプローチをではなく、赤谷尾根側の斜面を高巻くことにする。高巻の踏み跡は明瞭で、要所に赤旗もあるので迷わない。赤谷尾根の支稜を越えて下ると、池ノ谷出合の残雪の上に降りることが出来た。渡渉もなく、思ったより楽にタカノスワリを越えることが出来てホッとした。
雷岩はからアイゼンを付けて、雪渓を登り小窓尾根上に出る。ここで先行パーティに“学生山岳部ですか?”聞かれ、藤本さんが喜んだ。先行パーティは剱尾根の計画らしく、1990mピークから池ノ谷に向けて下って行った。今年は雪が少なく、池ノ谷ゴルジュがすでに露出してしまっているらしい。
2121mピークには13時に着く。時間的にはまだまだ先に行けそうだが、昨夜車の運転をした会長・吉田さんがお疲れなのでここでテントを張ることにした。その代わり、藤本さんとニードルの手前まで偵察に行き、50mザイル1本を途中の急雪壁にFIXした。
他のパーティも、ここか1990mピークでテントを張ったようだ。夜に大日岳縦走隊の川辺さんと無線交信する。
5月4日 晴れ
4:45出発~7:05ドーム~13:40三ノ窓~14:30池ノ谷乗越~15:40長次郎ノコル
テントの撤収を会長と吉田さんにお願いし、藤本さんと先行する。昨日のFIXを利用して急雪壁を越え、さらに1ピッチFIXしてニードルの基部まで行く。ニードルは残置FIXに騙され、会長のリードで池ノ谷側を巻いたが、下り気味のトラバースが結構怖い。あとから分かったのだが、正面からニードルのピークまで登り、白萩川側の雪面を下るのが正解だと思った。次のドームは仙人谷側の雪壁を登る。
ピラミッドは1ピッチザイルを出して、池ノ谷側から登る。マッチ箱は2ピッチで岩稜帯を抜けたあと、1ピッチ氷の載った岩場にFIXして左斜上、さらに白萩川側のクロアールにザイルを出して登り尾根に出た。このあたりの部分は、他パーティの順番待ちで時間をとられる。
小窓尾根上部
マッチ箱を越えると三ノ窓がすぐそばに見えるが、アップダウンがあり意外と遠い。小窓ノ王南壁基部を懸垂下降50m×2回で池ノ谷に降りる。ノーザイルで突撃下降していた人が池ノ谷まで滑落。幸い怪我は無かったが、見ていて肝を冷やした。
池ノ谷ガリーをつめ、池ノ谷乗越に着くと藤本さんが疲れて倒れこんでしまう。休んで回復してもらい、長次郎ノコルを目指す。長次郎ノコルに15:40頃に着く。明日から天候が悪化するとの予想だったので、出来れば今日中に早月尾根2600mまで降りておきたい。しかし、みんなの疲労の色が濃く、早月上部の岩稜帯を安全に下降できるか怪しいのでここでテントを張った。
5月5日 曇りのち晴れ
5:20出発~5:45本峰~8:30早月小屋~12:00馬場島
朝起きるとガスガスで視界10mくらいしかない。風も強いし、早月上部を下降できるのか心配になってくる。
20分ほどの登りで本峰に着き、記念撮影するがこれからの下降が気にかかる。幸い、カニのハサミのクロアールを降りるときには視界が回復してきてくれた。
カニのハサミと2700m?の下りの2回FIX、獅子頭を池ノ谷側から巻く部分も、ザイルを出しても良かったかもしれない。ここの部分は雪庇の真下を通るので恐ろしい。
早月小屋でギヤをしまい、青穂の石田さんから頂いたジュースを飲んだ。
早月尾根はここからが長い。馬場島まで暑さにうなされながら降りた。途中で吉田さんが数メートル滑落したので少し焦った。
やっぱり剱はいい山だ。