2011年夏山合宿 屏風岩・東壁ルンゼルート
メンバー: 岩田、柳瀬、野木
8月12日 1日目(上高地―横尾―屏風岩下部岩壁―T4)晴れ~曇り
5時予約のタクシーに乗り上高地へ。上高地のレストランで朝食をとり5時50分出発。明神、徳澤と休憩をとり約3時間で横尾キャンプ場へ到着後、BC設営。
10時に横尾出発。本日はT4尾根ビバークのためシュラフカバー、ツェルト、ガス、食糧、共同用の水2Lを担ぐ。順調に岩小舎から1ルンゼ押し出しの渡渉地点に到着。水量少く倒木の橋、自然杖も幾つかあり、靴を脱がず、水につかることなく渡渉できる。1ルンゼをつめ、T4尾根取り付きに到着。すでに、2名が岩小舎でビバーク体制に入っていた。翌日雲稜登攀予定とのこと。私達は、やや道迷い藪こきをしながら100mほど先にすすみ東壁ルンゼ取り付きに12時半ごろ到着する。(左壁とのコンタクトラインのルンゼを降りる)
12時50分登攀開始。(1~4p野木リード、5~8p岩田リード)
1p:苔がいっぱいのⅢ級程度のスラブだが、岩は乾いており。ランナーも適度にあり快適な登り。(35m)
2p:1pに続き快適な登りⅢ(+)程度。(35m)
3p:トポどおり直上ラインのボルトを無視、右上ラインのボルトにあぶみの掛け替え単調なA1ルートに入る。ピンは遠くないのだが、半分以上はボロボロスリングがかかっている。なかには、スリングもリングもないものあり、3mmスリングをタイオフしながら登り、ランナーもできるだけ多く取ったため、時間がかかり精神的に疲れる。三日月レッジにビレー点あり。(35m)
4p:右クラック沿いハーケンべた打ちからフェースのボルトに、単調なあぶみ掛け替えで直上。ここも、3mm細引き大活躍で登り、順調にビレー点に入る。ここのビレー点は、やや安定。喉の渇きがとれず、精神的に疲れてしまい、「ロープの結び替えをするならここしかない」と思い、岩田さんにリードをお願いし、ザックをかえる。(35m)
5p:同じくA1でフェースから、左上バンドから草つきに入る。(35m)
6~8p:通常は右上しT3に入るのだか、今回はT4ビバークのため、いやらし草つきを左上にロープをのばす。その後、凹角状の岩場を10mほど登りT4に18時到着。
装備をはずし、柳瀬さんは夕食づくり。岩田さんと私はツェルト張りを行い、19時ごろにヘッデンをつけ、やっとくつろげる体制に入る。夕食は五目飯とスープ。早めに就寝となる。
8月13日 2日目 (屏風岩東壁ルンゼ上部―屏風の頭―涸沢)
晴れ~曇り~一時小雨
4時起床。クッキーとコーヒーで朝食をすまし5時出発。T3にむけてトラバース開始。フックスロープとしっかりとした踏み跡がある。上部岩壁5時20分登攀開始。
(1p-4p、9p野木リード、5p-8p岩田さんリード)
1p:凹角左フェースを、単調なあぶみ掛け替えで登る。リングボルトは下部岩場と同じく悪い。ランナーを使い過ぎ、通常はかぶり気味の岩を右上しピッチを切るが、右上手前でピッチを切ってしまう。(25m)
上部1P目チムニー
2p:右上したところにビレー点があったが、ロープを10m程のばしフェースを直上しピッチをきる。(15m)
3p:さらに10mフェースを直上すると、通常2p目と言われる2mハング下に到着。どこが抜けても大きく落ちないように、たっぷりランナーをセットする。ハング上、右へのトラバースすべてボロボロ細引きボルトのため慎重にのぼっていたら、一つだけ誰かが残したワイヤが残っておりホットできる。不安なスリングはすべて細びき追加する。(35m)3P目2mハングに向かう 2mハング
3P目2mハングに向かう 2mハング
4p:通常3pと言われるところ、フェースを5mほど登りバンド状を左よりへ入る。一手のボルトがあぶみ最上段でもとどかない。また芯だけ残っているので、少しフリーであがっても、片手で3mmスリングタイオフに時間がかかる。芯が浅くナッツも使用できない。試行錯誤していると、もっとフリーで頑張ったら左手に安心できるカチがみつかりホッとする。ここが一番きつかった。左凹角状にはいり右フェースへもどりビレー。疲れた。本当は、もう1p私が行かなければと思っていたのだが、早めに岩田さんにリードを交替していただく。(35m)
5p:フェースA1からチムニーっぽい登りに入る。フォローは快適で楽しい。(30m)
6p:ルートファインディング困難。トポのフレークに惑わされ、やや右寄りにはいり行き詰るが、少し下降しルートを左方へ修正しビレー地点に入る。フォローの柳瀬さんが、右に残した支点回収し左へ厳しいところをトラバースする事となり苦労する。(フレークは最後にあった)(30m)
7p:への字ハング。岩田さんが快適にロープをのばす。ビレー柳瀬さん、私はのんびり座ってロープをさばいていると、柳瀬さんが急にロープに引きつけられる。上を見ると岩田さんがテンションをかけていた。ハングをこえた所のリングが根元から抜けたらしい。岩田さん、再度ハング登りをする。抜け口にハーケンを打ち無事終了点到着。荷物を持っての登りはフォローでもきつい。(30m)
への字ハングを快適に登る・・・ ・・も、落ちた!
8p:左の苔こけフェースをA1でぬけ、めちゃくちゃ嫌らしい草つきを右上。(35m)
(昔より草付が増えている)嫌らしい草付
9p:野木が2級程度の草つきを50mロープをのばし
安全地帯にはいり17時半ごろ終了。
登攀道具をしまい、食事をとり屏風の頭へむかう。途中、野生のブルーベリーが甘酸っぱく美味しい。口の中を潤しながら、迷わず屏風の頭19時過ぎの到着。ヘッデンを出し、安全のため涸沢に下山することにする。屏風の耳、最低コルから涸沢ヒュッテ21時前に到着した。テラスで残っているスープ、コーヒーを各一袋、皆の残った行動食を集め夕食をとり、ツェルトを張って就寝。
8月14日 3日目。曇り~小雨~曇り
ヒュッテでビール、コーヒー、ラーメンを購入し朝食をとり、一昨日12時間行動、昨日16時間行動で疲れているため、涸沢から横尾下山のみの行動となる。