足尾・幕岩 同志会右ルート (Winter Climbers Meeting 16)

ウインタークライマーズミーティング(WCM)に初めて参加する機会を得て、これまたほぼ初めてに近い栃木県・足尾にて冬壁登攀を楽しんできた。自分としては、普段あまり馴染みがない冬壁で、今回登った幕岩同志会右ルートはほとんど事前情報もない状態だったが、ナチュラルプロテクションを駆使して冬ならではのラインを登る楽しさや厳しさも含めとても魅力的なルートだった。

1/27 幕岩同志会右ルート (報告:望月)
メンバー 望月(L)、A原、T田
ギア カム0.2〜4を2セット
ロープ 60mダブルロープ

幕岩全景。登攀の前に渡渉せねばならないので長靴持参を推奨

1p (T田) 緩傾斜のルンゼ、薄い氷と岩のフッキングで登り20mほどで終了点へ。(Ⅲ?)このピッチは同志会ルートと共通で、終了点はボルトで整備されている。

2p(A原) 同志会ルートと分かれ、右側の凹角を登る。40mほど登ったところのブッシュでピッチを切る。出だしのフェイスが少し悪い。凹角に入った後は草付フッキングとワイド登りで泥臭く突破。(Ⅳ+?)

2p目スタート部分、ほぼ垂壁で難しい

3p(望月) 凹角を10mほど登りコルに立つ。その後真上へ続くコーナークラックを登るが、出だしの傾斜が強く、クラックが閉じていたのでその右の段々のフェイスを登る。数m登ったところでカンテを跨いで左へトラバースしてコーナークラックへ戻り、さらにテラスまで10mほど登る。後半のフェイスとコーナークラックはずっと油断できず、ロープも重かったので非常に疲れた。(Ⅴ?)
テラスに生えている細い木と、付近のクラックにカムをセットし終了点を作る。

4p(寺田) 傾斜の強いコーナーをフッキングとワイド登りで突破し、広いテラスで終了。(V?)この先の壁リッジ、ルンゼ状どちらでも登れそうな雰囲気だったが、時間切れが近かったため登攀を打ち切る。付近の木に巻かれた残置スリングにロープをかけて懸垂下降した。下降は登ったラインよりも右のルンゼ内を懸垂下降したが、60mロープでの懸垂下降2回で取り付き近くのコルに降り立ち、ルンゼを歩いて取り付きへ戻れた。

4p目の奮闘的なコーナー

今回、個人的に足尾は2回目(WCMの5日前に松木沢ジャンダルムへ練習しに来たのが初めて)、また、自分自身としても今シーズンは冬壁はほとんど練習できてない中で初めて組むメンバーとの登攀で、さらにパーティリーダーを担当したので、登攀前はかなり緊張していた。

しかし幕岩同志会右ルートはスッキリした壁に草付あり、チムニーあり、フェイスあり、と内容に富んで面白く気になっていた浮石もほとんど気にならず快適に登れた。

また、Winter Climbers Meeting (WCM)には今回初めて参加したが、参加者と主催者(サポートメンバー)合わせて50人以上と、多くのアルパインクライマーが一堂に会する大変貴重な機会だった。また、無線の配布や各エリアの下山確認など、安全面にも万全に配慮していただき、登った後は快適なテントで美味しい料理と山談義を楽しめたことにも感謝いっぱいだ。

足尾の壁でのクライミング内容はとても面白く、アプローチの近さも含めトレーニングにはとても良い壁と感じた。
関西在住のためあまり頻繁には通えないが、ぜひまた訪れたいと考えている。

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