2023年5月1-3日
メンバー:片岡(L)、板谷(報告)
蛍雪山岳会60周年記念山行の一環として岩屋谷と明芽谷に行ってきた。蛍雪山岳会の60周年記念山行は日本に10の地域を設定して、それぞれの地域で雪プラン(アルパインクライミングや沢登りなど技術的要求度の比較的高い山行)と蛍プラン(ハイキングや縦走など多くの人が参加しやすい山行)のを行うというものである。近畿地方のテーマは雪プランが白川又川で蛍プランが熊野古道である。今回の山行は当初計画では岩屋谷を遡行した後、尾根をまたいで大黒河谷に入って、これも遡行して大峯奥駈道の通過点である孔雀岳に詰め上がり、先の2つの谷の中間の尾根を下降するというものであり、雪プランでも蛍プランでもあるという意欲的なものであった。しかし、今回この計画が達成されることはなかった。まさか、あのような失敗をしてしまうとは思いも寄らず二人は沢へと足を踏み入れたのである。。。
朝の内は日が差さず肌寒い、濡れる部分を最小限にして進む。序盤は素敵な小滝がちょくちょく姿を現す。
最初にロープを出した小滝とプチゴルジュ。残置や自己のハーケンをきめながら慎重にリードする片岡。沢での落下は事故につながりやすく、ロープをつけていても絶対に落ちるべきではない。
そこそこ立派な滝である。しかし、この滝は岩屋谷滝の雄滝でも雌滝でもない。にもかかわらず、我々はこの滝を雄滝、付近の小滝を雌滝であると判断するという痛恨のミスをしてしまった。片岡は雄滝は100mある大滝だからおかしい。。。と違和感を感じていた。しかし協議の末、これまでの読図が正確だとするとやっぱりあれが雄滝なのだろうと言うことになった。
岩屋谷の標高1020mの二俣と判断した所から尾根上の1348mピークを目指す。予定では、ピークから塩ノ谷を目指し、標高1090mの二俣でキャンプすることになっていた。
ニンジンとギョニソーの炒め物。ニンジンがシャキシャキしていて美味しい。片岡作。
板谷は野菜とキノコの鍋。調味料は塩しか入れていないが、豚肉の旨味が出ていて物足りなさはなかった。
片岡は生米を炊いていた。少しもらったが、おこげが香ばしくて美味しい。
2日目
2日目はいったん下降し,大黒河谷を目指す。しばらく行くと大きな滝に出会い、ゴルジュ帯に入った。その後は巻きと懸垂の連続で写真を撮る余裕はなかったし、巻きの写真を撮ったところで映えないだろう。全部で20回くらい懸垂下降をしたと思う。行けども行けども本黒河谷に着かない。着けばそこには立派な林道があるはずだ。途中、片岡が谷の流れる方向がおかしいと言う。東向きに流れていると言うのだが、確かにそうである。塩ノ谷に東向きに流れている部分はない。だから、いつのまにか大黒河谷に入り込んでいたのだと解釈した。
2日目は余裕があるから釣りをしようと昨晩言っていたのだが、巻きと懸垂の連続で気が付く14時頃になっていた。これだともうそろそろキャンプ地を探さなければならないし、せっかくだからその前に少し釣りをしようということになる。
深い淵。ここに釣り糸を垂らした。
すると、簡単に釣れてしまった。美しいアマゴだ。まだ春だからか、少し痩せているような感じだ。合わせきれず針を飲まれてしまった。
2日目のキャンプ地。昨日と同様に、片岡がタープを張り、板谷が薪を集めた。
片岡が最高に美味しい焼き芋を焼いてくれた。こちらはお返しに白菜の塩茹でを差し上げた。
板谷が夕食の写真を撮っている時に、スマホの高度計をつい見てしまった。圏外だから地図は見ることはできない。420mという予想外に低い標高だった。谷間だとGPSの電波を捉えきれず大きな誤差が出ることは普通だ。この数字が正しければ大黒河谷のかなり下流にいることになる。片岡は大黒河のゴルジュは半端ではなく、こんなものではないから絶対に違うと言う。それに大黒河の下流に出るためにはどこかで林道を横切らなくてはならない。林道がほとんど自然に還ってしまっていて、気づかないこともありえなくはないが、ちよっと考えづらいのではないか?それで一応は下の地図の青のC2にいると言うことなんだろうと考えた。
3日目
予想が正しければ1時間もしないうちに林道に突き当たるだろう。そして、行動を開始して40分程が経過した時、下流に橋の橋脚が見えた。林道だ!予想は当たっていた!良かったと言い合い、橋のたもとでガチャ類を外したりしながら休んでいる時、ふと目を上げると谷の入り口に「明芽谷」と書かれた看板があった。これまで大黒河谷と思っていたのは、実は明芽谷だったのだ。二人ともひっくり返ってしまった。そもそもは、岩屋谷滝の手前で尾根に上がってしまったことが原因なのだろうが。
今回の山行では、GPSなしでオンサイトで山登りをする楽しさを味わえて最高だったと思う。焚き火や釣りも楽しかった。そういえば板谷は今回が初めての沢中泊で貴重な体験となった。今まで知らなかった沢登りの楽しさを知る山行となった。