北岳バットレス報告書
(Dガリー大滝~Dガリー奥壁登攀)
日程: 2006年10月7日~9日
メンバー: 柳瀬・岩田
10月7日 天候 曇り~雨~曇り
昨日の大雨の影響で広河原行きのバス始発が10時30分、今日は白根御池小屋まで。
明日の登攀予定ルートはピラミッドフエース~四尾根~下部フランケ~Dガリー奥壁の予定である。
広河原12:00 ~ 白根御池小屋(テント泊)14:45
10月8日 天候 曇り時々晴れ 風強
2:30起床、3:45に出発するが、バットレスに向かうクライマーが我々以外にもたくさん居る。
bガリーとCガリーの間の尾根状を登るとbガリー大滝の取付きには大勢のクライマー(10名以上)が登攀の
準備をしている。
連休の四尾根は大渋滞と聞いていたが、まさにその通り、四尾根には近寄らないことに決め、ルートを五尾根支稜~下部フランケ~Dガリー奥壁に変更する。
ガラ場をトラバースしてDガリー大滝に着く(5:50)と、なんとそこにも10名以上のクライマーが順番待ちしている。1パーテイ以外は五尾根支稜を登るとの事なので、我々は大滝にルートを変更し先に行かせてもらう。(6:55)大滝は2p(Ⅳ、Ⅳ)のスラブ登攀で横断バンドに出る。(8:10)
右にトラバースバンドを利用して下部フランケに取付くも、2m程登るがピンも無くルートがわからない。じっとしていると指先が冷えてくる、ルート図ではこのピッチはⅥ級。上部の凹角状は濡れているようなので、あっさり止めることにする。
Dガリーに戻り、奥壁取付きまで約5p(Ⅱ~Ⅲ)登る。ロープ無しでも行けるが安全を期す。(11:20)さあ、Dガリー奥壁の登攀だ(11:45)、4段ハングをフリーで越えるが、最初のハングの足場がわからずテンション。何度目かのトライでやっと越える。最後のハングを越えクラックからスラブを直上してレッジでビレー。
新品の雨具をズリズリする度に、気持ちの方がズリズリテンションが下がる。チムニーは途中から外に出てスラブを登るとのことを後で知ったが、その時はチムニーの中をひたすらズリズリやりまくり、とうとう力尽きて降りた。
四尾根からガイドさんがルートを教えてくれたが、もう下に降りてきたので左のバリエーションルート(Ⅴ)を登ることにして、左のスラブに打たれたボルトテラスに移る。
4p目、フェースを左上しハーケンが連打されたスラブ帯に出るが、その全てのハーケンが指で触っただけで動く代物、じわっと騙し騙しフリーとA0でずり上がる。(このピッチが今日の中で一番難しく、恐かった)どうにか抜け城塞下の広いバンドでビレー、柳瀬も必死になって登って来る。
その頃になると一段と風が強くなってきて寒くて仕方がない、ガタガタ震えてビレーする。寒さで登攀どころではないのでバンドをトラバース(Ⅲ)して四尾根の枯れ木テラスに出る。
5p目、四尾根最終p(Ⅲ)を登り終了。(17:30~:45)
そこから頂上まで踏み後を登って18:10に北岳山頂に着く。頂上でビバークをしたかった?が、今日は寒すぎる。真っ暗な頂上で記念写真を摂り、肩の小屋を目指す。肩の小屋(18:45着)は素泊り3.000円、寝具(シュラフ)1.000円、卵うどん900円でした。我々の後には四尾根の最終パーティが3組程入って来た。
御池小屋(3:45)~二俣(4:10)~Dガリー大滝取付き(5:50~6:55)~横断バンド(8:10)~Dガリー奥壁取付き(11:20~:45)~終了(17:30~:45)~頂上(18:10~:15)~肩の小屋(18:45)
10月9日 天候 晴れ
朝、5時に起きて何も食わずに即出発。日の出を眺めながらの稜線歩きは気持ちが良い! 分岐から草滑りコースを御池小屋に降りるが、どういう訳か途中で道が這い松の中に消えている。○のペンキ印はあったし、地図も合っている。方向もOKなので「ええい、突っ込め!」とハイマツ帯に突入。段々と深くなってきて背丈よりも深くなってきた。地面に落ちないように幹の上を歩くがたまに滑ってはまり込んで、柳瀬も悪戦苦闘している。(しかし、柳瀬にとっては藪漕ぎの良いトレーニングである。)
ハイマツ帯を抜け潅木の中をどんどん降っていったら、御池小屋の5分ほど下の登山道に出た。登山者が怪訝そうな顔でこちらを見ている。(まあ、そうやわな)小屋に着くとなんとテントが行方不明、どこに行ったか探すと近くでひっくり返っていた。昨日の強風で飛ばされたらしい。遅い朝食を摂り、広河原へ下山する。
今回の北岳は北アルプスのように、雪が降ることはなかったが、強風でとにかく寒かった。
今度はもう少し暖かい時に、快適に登りたいとつくづく思う山行でした。
肩の小屋(5:10)~御池小屋(7:45~8:50)~広河原(10:10)